2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00828
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
STRUSSMANN C.A. 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HELSON JEREMY GRAHAM 東京海洋大学(東京水産大学), 海洋科学部, 外国人特別研究員
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Keywords | イセエビ / 摂餌機構 / 溶解有機物質 / 栄養原 / 餌料系列 / HPLC / アミノ酸 / 幼生 |
Research Abstract |
イセエビはわが国の主要な磯根資源である。本種の養殖もしくは増殖が強く求められているが、種苗生産技術は確立しておらず、種苗が確保できないのが現状である。種苗生産の最大のネックは、幼生(フィロソーマ)の適当な餌料が見出されていないことである。一方、イセエビ幼生が体表を通じて環境中の溶解栄養物質を取組めることが最近明らかになった。そこで、本研究では、イセエビ類の種苗生産における幼生の餌料系列を確立する目的として、幼生における環境水に溶解している有機物質の吸収能力を解析し、それらの物質の組織内への取り込みと物質代謝への転換率を測定し、本種の栄養摂取機構を明らかにする。本年度では、異なる発生段階の幼生における溶解アミノ酸の吸収能力を調べるために、採卵によって得られた幼生を抗生物質(アンピシリン)が添加した24℃のろ過海水に収容し、1日2回程度可消化処理したクロレラで栄養添加したアルテミア幼生を給餌した。そして、14〜21日令、130〜140日令および250〜270日令の幼生を用いて、14種類のアミノ酸が単独または混合に溶解した海水で飼育し、数回の実験を繰り返し行なった。HPLC法で海水中のアミノ酸濃度を調べた結果、14〜21日令の幼生は活性が低く、吸収能力が確認できなかった。また、絶食区との比較を試みたが、この発生ステージにおいてアミノ酸による生残率への影響も確認できなかった。一方、130〜140日令および250〜270日令のものを用いた実験では、アミノ酸の種類によって吸収または放出が確認された。これらの結果はシンチレーションカウンター法でも確認された。以上のことから、イセエビ幼生における環境水溶解アミノ酸の吸収が幼生の発生段階およびアミノ酸の種類によって異なることが示唆された。これらの結果は、本種の栄養摂取機構を解明し、種苗生産における適当な餌料系列を構築する上で重要な知見である。
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