2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00907
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
竹本 幹夫 早稲田大学, 文学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KAGAYA S. 早稲田大学, 文学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | 紅葉館 / 梅若実 / 地方の能 / 東京の能 / 演能記録 / 家元制度 / 松付言古 / 吉田東伍 |
Research Abstract |
本年は研究の初年度で、しかも秋からの研究開始であったため、研究期間が実質数ヶ月程度しかなかった。そこで来年度以後の準備のための研究を中心とし、資料調査等は国内、とくに東京を中心とせざるを得なかった。このような事情により、活字化された研究業績は発表できなかった。 加賀谷の行った調査活動のうち、主なものとしては、黒川能で著名な山形県櫛引町の春日神社における王祇祭を調査したこと、能役者とのインタビューのための研究打ち合わせ、ビデオ・デジタルカメラによる資料の収集などがある。また竹本は、法政大学能楽研究所で収集した江戸時代演能記録データベースのファイルを同研究所の許可を得て入手し、その校正作業を独自に行った。さらに早稲田大学演劇博物館所蔵の明治期演能記録各種を調査し、データ化のための準備作業を行った。 研究活動としては、加賀谷は演劇博物館も参画している学術フロンティア事業「アジア地域文化に関する共同研究-演劇・美術史・考古学を中心として」(代表・伊藤洋演劇博物館館長)のプロジェクト研究のひとつである「初代梅若実日記研究会」への参加を許され、同日記の輸読作業を通じて、明治期の東京能界の実態の一端に触れることができた。来年度以降は,さらに別種の梅若家資料の読解にも参加する予定である。竹本は、演劇博物館所蔵資料を中心に、明治期の太鼓役者松村言吉の演能記録の読解・考証などを行い、さらに芝能楽堂(紅葉館能舞台)関係の上演記録の年代順整理を行った。なお竹本が本年度末に行っている、明治後期の能楽研究の泰斗で歴史学者の吉田東伍の事績調査と、その自筆原稿所在確認調査は、本研究の主要テーマである、近代の能楽研究と深くかかわりを持つ。 上記の研究実績を踏まえ、来年度は、本年度の研究成果の活字化と近代能楽資料のさらなる収集を目指したい。
|