2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F00909
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
スワンソン ポール 南山大学, 南山宗教文化研究所, 所長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
コプフ ゲレオン 南山大学, 南山宗教文化研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 西田幾太郎 / 西田哲学 / 絶対矛盾的自己同一 / 不二元論 |
Research Abstract |
近年、西田哲学について多くの論文や書物が著わされていますが、そこでの基本的な解釈は二つだけです。一方は西田哲学における「絶対矛盾的自己同一」という概念を哲学の問題の解決と述べていますし、他方は西田哲学を非哲学的であると片付けています。私は西田哲学を不二元論として紹介してみたいと考えています。詳しく言えば、西田哲学を京都学派の中の様々な見解と比べたり、西田哲学から不二元論を展開したり、ポストモダンのアイデンティティの政治論に適用しようと考えております。 補助金を利用して、コンピューター本体、スキャナー、プリンター等のコンピューター関連の物品を購入し、西田全集をスキャンし、CDに記録するという作業を始めました。これによりキーワード検索とその結果のプリント・アウトが可能となりました。現在は、アシスタントの方にスキャンしてもらっています。また、彼は、私が指定する引用や定義などをデータベースに入力してくれています。これらの作業の結果、キーワード、年月日、論文名等から特定の引用や記述の検索が可能となり、私の研究にとって大きな支えとなります。さらに、彼は私の日本語の論文を校正してくれています。最後に、私が在籍する南山宗教文化研究所にはなく、私の研究には不可欠である京都学派の比較的マイナーな哲学者の書物を購入しました。 現在までに、西田幾多郎全集と最近出版された西田哲学についての研究書を一覧し、執筆中の本のアウトラインを決定した上で、私の方法を西田と高橋の論争から展開いたしました。西田哲学の解釈は、一般に新カント派や現象学との関わりで行われることが多いのですが、私はそれに反して、西田哲学における弁証法と高橋の包弁証法との対比という観点から、西田解釈を行いたいと考えております。
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