2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F02041
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
太田 信義 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MIAO Y.-G. 大阪大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | ブレイン / ブラックホール / 超弦理論 / AdS / CFT対応 / 超重力理論 / 双対性 |
Research Abstract |
本年度は超弦理論の低エネルギー有効理論である超重力理論の厳密解として、特異性を持った解を構成し、その物理的な性質を調べた。AdS/CFT対応という方法により、特異性があるにもかかわらず、この解がゲージ場の閉じこめ相を記述しうる物理的に意味のある解であることを示した。 また何らの不自然な仮定をせずに、超弦理論の最も一般的なブレイン解の構成を行った。これはブレイン反ブレイン系を記述する解でもあり、今後いろいろな局面で役立つと期待される。 さらにゲージ/重力対応により、ブラックホール解に対応するゲージ理論の解supertubeのモジュライ空間の構造を定め、それを用いて対応するブラックホールの微視的状態数を数え上げることにより、ブラックホールエントロピーの統計力学的解釈を与えた。これは最近の重要な発見と見なされている。 一方、昨年からの研究の継続として、M理論の低エネルギー有効理論には、曲率の高次項が補正として現れることがわかっているので、それを取り入れて宇宙論的解を調べた。その結果、宇宙初期のインフレーションを説明できる解が得られた。以上はすべて、学術雑誌に報告されている。 また超弦理論を統一するM理論の候補としていろいろな模型が考えられているが、その候補としてメンブレインの量子化も検討した。その第1歩として、張力が0の極限にある弦理論の量子化を考えた。 近年の超弦理論による量子重力の解析における重要な発展としては、ブラックホールのエントロピーの統計力学的説明と、宇宙論への応用があげられるが、以上の結果はこれらに新たな光を当てた発展として多くの興味を集めている。
|
Research Products
(4 results)