2004 Fiscal Year Annual Research Report
その場反応により形成したナノ粒子分散強化型マグネシウム合金の開発
Project/Area Number |
02F02104
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 明久 東北大学, 金属材料研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUAN Guangyin 東北大学, 金属材料研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | Mg基ガラス合金 / ガラス形成能 / 熱的安定性 / 構造緩和 / 機械的性質 / 耐食性 |
Research Abstract |
近年、より高強度を有する新しいMg合金の開発として、非晶質合金の組成探査に多く研究がなされている。しかしながら、Mg基ガラス合金の延性についての研究は殆どなされていない。その場反応形成による延性結晶相分散型Mg基金属ガラス合金について、報告があるが、耐食性を考慮すると結晶相の存在は、マイナス要因である。もし、高強度、高延性、高耐食性を有するMg基金属ガラスが開発されれば、科学、工学およびその実用化を通して、社会へ及ぼす影響は計り知れない。 Mg合金の脆化の大きな原因として、ガラス材料に特有な構造緩和が挙げられる。この構造緩和に対する相の安定性を高めるためには、添加元素等によって、ガラス遷移温度を高める必要がある。Mg_<65>Cu_<25>Gd_<10> 3元系ガラス合金に対して、そのガラス遷移温度を高めるために、Niを添加することにした。その他にも、Niを選択した理由は、他の構成元素と原子サイズが大きく異なりとともに、MgおよびGd原子に対して、大きな負の混合熱を有し、ガラス形成能を高める可能性があること、および、一般的に耐食性を高める効果が認められていること等である。 Mg_<75>Cu_5Ni_<10>Gd_<10>, Mg_<70>Cu_<15>Ni_5Gd_<10>および、Mg_<65>Cu_<20>Ni_5Gd_<10>合金において、それぞれ、2.5mm、4mm、および、5mm直径のバルクガラス単相が作製できた。Mg_<75>Cu_5Ni_<10>Gd_<10>合金のガラス遷移温度は436Kとなり、Mg_<65>Cu_<25>Gd_<10>合金の417Kから19K上昇した。また、それぞれのヤング率、破壊強度、および、塑性伸は、54〜59GPa,854〜904MPa,および、0.1〜0.2%の範囲であった。その中で、Mg_<65>Cu_<20>Ni_5Gd_<10>合金が、最大のヤング率および破壊強度を呈し、世界で始めて900MPaを超える破断強度を有するMg合金の開発に成功した。また、Ni元素添加によって、NaCl溶液に対する耐食性が向上することも実験事実として明らかにした。
|
Research Products
(4 results)