2004 Fiscal Year Annual Research Report
無臭チオール及びスルフィドの創製とそのグリーンケミストリーへの応用
Project/Area Number |
02F02182
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野出 學 京都薬科大学, 薬学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PRANAB Kumar Patra 京都薬科大学, 薬学部, 外国人特別研究員
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Keywords | チオール / スルフィド / Corey-Kim酸化 / DMSO酸化 / ジフェニルジスルフィド / ジフェニルジセレニド / フェニルスルフィニル化 / 共役カルボニル化合物 |
Research Abstract |
硫黄やセレンを含んだ試薬は、他の元素の利用では代替できない特性をもっており、有機合成において必要不可欠であるが、特有の悪臭を発するために取扱い困難な試薬である。すでに私達は、炭素数12以上のアルキル基をもつチオールやスルフィド類が無臭であり、エタンチオールやジメチルスルフィドの優れた代替試薬となることを見出してきた。今回、さらに環境に優しい試薬の開発を目指して、アルキル基末端に塩基性のモルフォリノ基が結合したアルキルチオール(MMSH)、アルキルメチルスルフィド(MMS)の開発に成功した。これらの試薬は、反応の後処理段階(酸・塩基分配抽出)で生成物と容易に分離でき、工業的プロセスにおいても再利用可能な無臭チオール、無臭スルフィドである。さらに、MMSは酸化してスルフォキシド(MMSO)にも変換可能である。MMSおよびMMSOをジメチルスルフィド、DMSOの代わりに用いるとCorey-Kim酸化やDMSO酸化を完全に無臭条件で行なうことができた。さらに、ジフェニルジスルフィドやジフェニルジセレニドのベンゼン環のp,p'-位に「トリメチルシリル基」を導入することでも試薬の無臭化に成功した。前者はp-トリメチルシリルベンゼンチオールをカップリングさせるだけで、また、後者はp-トリメチルシリルブロモベンゼンとセレンとを出発原料に2工程で収率良く調製できた。これら無臭のジフェニルジスルフィドやジフェニルジセレニドを使ってフェニルスルフィニル化や共役カルボニル化合物の合成を行なったところ、既存の臭い試薬を使った場合より優るとも劣らない収率で反応を進行させることができた。
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Research Products
(3 results)