2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02F02202
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊澤 慶伯 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 講師
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AMER Sayad Amin 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 爬虫類 / アガマ類 / フトアゴヒゲトカゲ / ミトコンドリアDNA / 制御領域 / 分岐年代 / 分子生物地理学 / 分散 |
Research Abstract |
アガマ科トカゲ類の系統進化と古環境変動の関係を探るために、分子系統学的な研究を行なった。オーストラリアに生息するアガマ類であるフトアゴヒゲトカゲから、ミトコンドリアDNAの全塩基配列を決定した。16751塩基対の塩基配列中に、13コのタンパク質遺伝子、2コのrRNA遺伝子、22コのtRNA遺伝子に加え、2コの制御領域が同定された。重複した制御領域は、NADHデヒドロゲナーゼサブユニット5遺伝子と同サブユニット6遺伝子の間に挿入されていた。この新しい制御領域は、オーストラリア及びニューギニア原産のアガマ類のミトコンドリアDNAにおいて共通に見られたが、アジアやアフリカのアガマ類においては存在しないことも分かった。制御領域の塩基配列を調べたところ、種間の比較では大きく塩基配列が異なるが、同種内の重複した制御領域の塩基配列は殆ど同一であることが分かった。そのことから制御領域の塩基配列が種内で協調進化していることが示唆された。次にミトコンドリアDNAの一部領域の塩基配列を用いて分子系統樹を構築し、系統間における分子進化速度の一定性を仮定しないThorneとKishinoの方法を用いて分岐年代を推定したところ、オーストラリア・ニューギニアのアガマ類が単系統群を成し、漸新世ころにアジアの姉妹種(Physignathuscocincinus)と分岐したらしいことが示唆された。オーストラリア・ニューギニアのアガマ類の起源は、中生代の大陸分裂に伴う分断ではなく、ワレス線を超えての分散に求められるようである。
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