2004 Fiscal Year Annual Research Report
ジェミニウイルスの分類ならびに感染増殖に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
02F02211
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高浪 洋一 九州大学, 農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WERE H.K. 九州大学, 農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | Geminivirus / 病原性 / スイカズラ / Begomovirus / Honeysuckle yellow vein virus |
Research Abstract |
ジェミニウイルスは熱帯,亜熱帯地方を中心に猛威をふるっているコナジラミ伝搬性のDNA植物ウイルスであって,近年日本の施設栽培トマト等においても被害が見られるようになってきた。一方,日本では以前からTobacco leaf curl virusに感染しているスイカズラ及びヒヨドリバナが存在している。そこで,日本各地から収集したジェミニウイルス罹病スイカズラを試料とし,それぞれの試料の相互関係を知るため,PCR法によりウイルスのゲノムDNAのクローニングを行うとともに,それぞれのクローンの塩基配列決定を行った。また,ウイルスの増殖には必須ではないが,病徴発現に影響を与えるサテライトDNAと呼ばれる分子であるDNAβのPCRによる増幅,クローニングと塩基配列決定も合わせて行った。 研究実施の結果,各分離株について約2700bpの全長DNA-Aクローンを得,これらの全塩基配列を決定した。これらの塩基配列データを基にして各試料に含まれるウイルスの系統発生的相互関係を明らかにするとともに,長い歴史の間にウイルス相互間の組み換え現象があることを認めた。また,神戸および札幌の試料から完全長DNAβのクローンを得,その塩基配列を決定した。感染スイカズラには黄色病徴示す試料があり,この病徴発現とDNAβの存在が関連している可能性が考えられた。特記すべき成果として,本ウイルスの機械的接種の成功が挙げられる。すなわち,スイカズラ由来のウイルス株をタバコおよびN.benthamianaに塗沫接種を行ったところ,神戸株のN.benthamianaへの人工接種に成功し,接種植物にウイルスゲノムDNA AおよびDNAβが存在することをPCRによって確認した。これまで本ウイルスの人工接種の成功例はなく,高く評価される業績である。
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Research Products
(2 results)