2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヨーロッパと東アジア緊張緩和の国際比較-ドイツ、日本、韓国を事例として
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02F02287
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 進 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LEE Jong Guk 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 冷戦 / 緊張緩和 / ヨーロッパの緊張緩和 / 東アジアの冷戦 / 朝鮮半島の緊張緩和 / 日本と東アジアの緊張緩和 / 西ドイツと緊張緩和 / 冷戦史のプローゼット |
Research Abstract |
60〜70年代の国際緊張緩和体制は大きな意味合いを持っている。特に当時の国際政治の構造からなっている「冷戦構造」とそれにあらたな「うねり」として現れていた「国際緊張緩和構造」とのかかわりあいは、危機の国際政治を平和的に解決する重要な側面であった。そのような構造のなかに属していたヨーロッパと東アジアはその構造の論理から新たな「政策」なり「試み」を出さなくてはならなかった。さらに分断国家、西ドイツと韓国の外交政策、日本の東アジアの認識もそのような国際政治システムの変化に合う形で進行させながら、その構造において一つの「触媒」として大きな役割を演ずることになった。 戦後国際政治の現実は以下のように展開されていた。まず権力の配分の形態は東アジアとヨーロッパの国際政治における根本的なアナーキー構造に影響を及ぼしたからである。とくに20世紀は力の関係において注目すべき時代であったことからその配分問題は実際の現実政治の中心課題であったと言っても言い過ぎではない。それで戦後国際システムにおいて大国の数と極の数が急激に増えシステムが変動するようになっていた。特にヨーロッパと東アジアにおいて旧大国回復に加えて、戦後秩序はまたあらたに登場する中心国によって挑戦されていた。また脱植民地化の過程から国際システムにおいて国家の数も三倍ほどなって、それらの国家にもあらたな機会を与えるようになった。1960年代の国際緊張緩和のプロセスの時期は新たに登場する力の中心国家の増加の制限のない過程であった。次に国際関係において「結びの深さ」は世界システムのなかで戦後ヨーロッパの位置を評価するとき極めて重大なものであった。戦後ヨーロッパにおいてお互いにシステムのなかで相互関係の深さの増加現象は危機と紛争から協調の姿勢への転換を意味していた。相互依存関係の深さは相互作用によってその意味を明らかにしたし、またそれは相互依存関係を作り出した。相互依存関係の増大とともにその関係の深さは政治的、経済的、社会的、環境的な面において相互作用の必要性を拡大させた。以上のような枠組みのなかでヨーロッパと東アジアは緊張を緩和する「正常化」問題をどのように行ったのか、国際状況が大きくへんかする時期に行った様々な政策は国際緊張緩和システムに向けて大きな可能性を見せたのか、国際秩序と地域秩序の変化は国際緊張緩和システムの形成にどのような結果をもたらしたのか。このような研究から国際緊張緩和システムの形成と制度化は地域における社会的構成を強化することによって均衡のとれた国際安全保障体制と平和構造システムを作り上げていたことを検証できる。
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