2004 Fiscal Year Annual Research Report
為替管理とその貿易収支に及ぼす影響:バングラデシュ経済のグローバル化と日本の役割
Project/Area Number |
02F02290
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
氷鉋 揚四郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
UZ-ZAMAN MD. Akhtar 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 為替管理 / バングラデシュ経済 / 長期貨幣需要関数 / 貨幣の流通速度 / 南アジア経済 / インフレ要因 |
Research Abstract |
今年度は、バングラデッシュの為替管理をめぐる経済環境およびその特徴を解析し、経済のグローバル化に伴い近未来に実現する可能性の高い南アジアおよび東南アジアFTAを想定した為替管理の在り方を計量経済学的手法で研究した。以下は、より具体的な知見の一部である(詳細については、研究代表者に『研究成果報告書(英語版)』を請求されたし)。VEC(Vector Error Correction)モデル手法を使って、実質為替レート、名目為替レートがバングラデッシュ経済の国際競争力向上に果たす役割を分析し、過去20年間の貿易および為替の枠組みの改定が国際競争力を支えたことを明らかにした。特に、非伝統的な、レディメイドの衣服産業が果たした役割が大きい。しかし、輸出産業の多様化が遅れている。これは、今後は、為替政策だけでなく、技術力、海外投資などに基礎付けられた非価格的な要因、つまり産業インフラの整備を行い、構造的な競争力を高めることが急務であることを意味している。 長期貨幣需要関数の分析では、説明変数としてGDP、為替レート、物価水準が有意であること、また国内利子率が有意であることは金融自由化が金融部門の強化に有効であること、信用供与制限はもはや効果がないこと、所得弾力性が1、物価水準に対して一次同次という仮説は検証されたこと、国際利子率と国債利子率の差が有意ではないことから現状では通貨代替は起こらないこと、したがってこれまでは為替レート引き下げが行われているがまだ十分でないこと、などを明らかにした。 貨幣の流通速度(VM)を、実質国民所得(Y)、利子率および銀行の支店数、金融の技術改革、要求払い預金-通貨比率、定期預金-通貨比率などで代理される金融発展段階指標(FDEV)で説明し、VMの定義に如何にかかわらず、その75%をYとFDEVが説明すること、したがって金融の発展段階を見極めて金融拡大の安全な上限を設定することが適切であることを明らかにした。これは、通貨当局はインフレを制御しながら、より強力な通貨拡大政策を採れることを意味している。
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Research Products
(1 results)