2004 Fiscal Year Annual Research Report
人称代名詞的用法の対称詞および他称詞に関する日韓対照研究
Project/Area Number |
02F02295
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
深見 兼孝 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIM Hyunjung 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 他称詞 / 述語待遇 / 日本語と韓国語 |
Research Abstract |
本年度は日本と韓国の大学生を対象に行ったアンケートのデータをもとに、日韓両言語の他称詞の類型と使い分け、ならびに述語の待遇度との関連性を「上下関係」と「親疎関係」を軸に考察してみた。その結果、以下のことが分かった。(1)大学の先生に親のことをいう場合,日本語は「両親」-「行きます」(53.1%)の組み合わせが半数以上を占めており、親に対してはあげず、大学の先生に対してだけ丁寧な述語を用いることが最も多い。一方韓国語では「bumonim」-「gase-yo」(27.5%)の組み合わせが最も多く、日本語とは違って、第三者である親をあげながら、聞き手である大学の先生もある程度あげる述語の語形が多用される。(2)親に大学の先生を言及する場合,日本語は「姓+先生」-「行く」(29.3%)の組み合わせ、韓国語は「gyosu+nim」-「gaseyo」(25.2%)の組み合わせた最も多かった。日本語では大学の先生も親もあげない語形が用いられているのに対し、韓国語では両方をあげる語形が用いられている点で相違が見られる。(3)友達に親のことをいう場合、日本語は「お父さんとお母さん」-「行く」(45.0%)、韓国語では「appa/eomma」-「ga」(32.4%)の組み合わせが最も多い。また、友達に大学の先生のことをいう場合は「姓+先生」-「行く」(33.3%)、韓国語は「gyosunim」-「ga」(16.9%)の組み合わせが最も多かった。他称詞使用の場合、相対的使い分けをする日本語では身内である親について「父/母」、絶対的使い分けをする韓国語では「abeoji/eomeoni」と呼ぶのが従来の基準にそった待遇法である。しかし本調査では「お父さん/お母さん」「appa/eomma」が多用されていることが分かった。また、述語の使用においても、韓国語の場合、親のことを言及する際「ga」という述語が多用されており、これは韓国語の絶対的使い分けの基準からは説明できないものであるといえる.このような従来の使い分けの基準からはみ出した語形は、とりわけ友達の場合により多いことが分かった。
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Research Products
(2 results)