2004 Fiscal Year Annual Research Report
非水系プロトン伝導体としての酸-塩基型イオン性液体とイオンゲル
Project/Area Number |
02F02380
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
渡邉 正義 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MD. Abu Bin Hasan Susan 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | プロトン伝導 / イオン液体 / プロトンホッピング / 磁場勾配NMR / 水素結合 / 燃料電池 / 固体高分子形燃料電池 / 酸素還元 |
Research Abstract |
近年、水によって膨潤したイオン交換膜を用いた高分子固体電解質形燃料電池が、電気自動車用の電源、家庭用の熱電供給装置、さらにはポータブル電源として大きな期待を集め、新規プロトン伝導体への関心は非常に高い。従来のイオン交換膜は、充分に吸湿した状態でのみ高いプロトン伝導性を示すため、通常80℃以上の温度域では水の蒸発によるプロトン伝導性の低下が起き、燃料電池の特性は低下する。したがって固体高分子形燃料電池の運転温度は、一般的に80℃以下に限定されている。この低温作動性は燃料電池の開始特性という観点からは優れる。しかし、燃料電池の廃熱利用、作動中の冷却、電気化学反応の促進という観点からは、より高温(特に100℃〜200℃の間)で、かつ低加湿さらには無加湿で作動可能な燃料電池用プロトン伝導体の開発が期待されている。 本研究では酸と塩基からなるイオン液体を新しい非水系プロトン伝導体として提案し、以下の研究を展開した。 (1)超強ブレンステッド酸と種々の有機塩基の中和反応で得られるプロトン伝導性イオン液体を調整し、そのイオン導電率、直流分極、NMR、磁場勾配NMR測定などから、このイオン液体中のプロトン輸送現象を明らかにした。さらに有機塩基の構造(特に、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾールに注目)やイオン液体の組成とプロトン輸送特性の相関から、プロトン伝導性イオン液体設計指針を探求した。 (2)本イオン液体を電解質とした電気化学測定から、白金電極界面で、無水条件下、100℃以上の温度域で、水素酸化反応、酸素還元反応、すなわち燃料電池電解質として必要な電気化学反応が起きることを明らかした。さらに、本イオン液体を用いることによって無加湿燃料電池が構築できることを示し、その固体薄膜化を図った。
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