2004 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌の子実体形成に関わる酵素とその遺伝子の発現と制御
Project/Area Number |
02F02515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鮫島 正浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尹 ちょん俊 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | オオウズラタケ / 子実体 / 褐色腐朽菌 / アミラーゼ / 糖質関連酵素 / 担子菌 / Fomitopsis palustris / Phanerochaete chrysosporium |
Research Abstract |
本研究では,木材腐朽試験の指標菌である褐色腐朽菌オオウズラタケ(Fomitopsis palustris)をとりあげ,菌糸体の生育および子実体形成時に発現する酵素ならびに遺伝子を調べることで,子実体形成を支配する生化学ならびに分子生物学的な因子について解明していくことを目的として研究を行った。 セルロース培養系で培養した本菌の菌体外液をカラムクロマトグラフィーによって精製し,様々なセルラーゼ活性を測定した。その結果,30kDaおよび35kDaのタンパク質は色素結合型ヒドロキシエチルセルロースを分解したことから,いずれもエンドグルカナーゼであると考えられた。しかしながら,70kDaのタンパク質は様々なセルラーゼ活性を測定したが,活性を検出することはできなかった。そこで,本酵素をV8プロテアーゼを用いて部分消化したのち,SDS-PAGEで分離して得られた断片のN末端アミノ酸配列を決定し,さらにこの配列について白色腐朽菌Phanerochaete chrysosporiumのゲノム情報に対してBLAST検索をかけたところ,糖加水分解酵素ファミリー15に属するグルコアミラーゼの部分配列と高い相同性を持つことが分かった。さらに,本酵素の基質特異性を調べた。その結果,本酵素はグルコアミラーゼであることを明らかにした。 さらに,このグルコアミラーゼは菌体の子実体形成時に発現する酵素であることを確認した。また,代表的な食用きのこであるシイタケ(Lentinula edodes)の子実体形成に本酵素が重要な役割を果たしていることが遺伝子的に報告されている。したがって,本酵素は担子菌の子実体形成に関わる酵素として重要であり,その機能を生化学的ならびに分子生物学的に解明するため,対応する遺伝子のクローニングを試み,これに成功した。
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