2004 Fiscal Year Annual Research Report
Ca依存性ミトコンドリア膜アスパラギン酸・グルタミン酸輸送体の神経ネットワーク形成における役割
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02F02524
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中河 志朗 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JALIL Md. Abdul 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | aralar / mitochondrial aspartate-glutamate carrier / N-acetylaspartate / myelination / galactocerebroside / autism |
Research Abstract |
平成15年度に引き続いて、aralar-KOマウスについて解析を行い、以下の結果を得て、英文雑誌に投稿中である。 1)脳、および坐骨神経から脂質を抽出し、薄層クロマトグラフィーでの解析を行った。脳からの脂質分析ではcholesterolやphosphatidylcholineなどのスポットには差異がないが、galatocerebrosideのスポットが著しい減少を示した。しかし坐骨神経からの脂質分析では差異を認めるスポットは存在しなかった。 2)脂質成分の定量を行い、定量的にgalactocerebroside含量の低下を確認した。 3)myelin中の脂質合成に重要な役割を演ずると考えられているN-acetylaspartateの含量が低下していることを見出した。 4)さらに神経細胞の培養を行い、培養神経細胞中のN-acetylaspartate濃度がaralar-KOマウス由来の細胞では低下していることを明らかにした。 5)脳内アミノ酸の定量を行っている。aspartateの低下にとどまらず、serine、glutamateなど多くのアミノ酸の低下を見出している。 以上の結果から、aralar-KOマウスでは脳,・骨格筋型mitochondrial aspartate glutamate carrierであるaralarの欠損によって中枢神経系の、N-acetylaspartateの低下、引き続いてgalactocerebrosideなどミエリン脂質の合成不全を起こし、神経失調症状をきたしていると考えられる。 その後、ヘテロ接合体マウスの脳内アミノ酸にも変動が見られることから、ヘテロ接合体マウスにおいても何らかの異常を呈するものと考え、行動解析を行った。現在までに行った解析では明らかな差を見いだしていないが、2004年4月にAm.J.PsychiatrにSLC25A12が自閉症の原因遺伝子である可能性が示され、本研究の重要性と緊急性が高まっている。
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Research Products
(2 results)