2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性骨吸収におけるヘルパーT細胞(Th1・Th2細胞)の役割
Project/Area Number |
02F02540
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
飯島 忠彦 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WU Zhou 九州大学, 大学院・歯学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ヘルパーT細胞 / アジュバント関節炎 / 炎症 / サイトカイン / ケモカイン / Th1細胞 / Th2細胞 / 知覚神経 |
Research Abstract |
ヘルパーT細胞はTh0、Th1及びTh2の三者に分類され、後二者の量的バランスが炎症の進行に深く関わる。本研究ではアジュバント関節炎ラットの炎症滑膜組織に浸潤したT細胞の量的変化をTh1及びTh2細胞に区別して解析し、炎症の動態をより詳細に考察した。特に、知覚神経の関与に注目して解析を進めた。 近年、数種のケモカインやサイトカインを指標としてTh1細胞とTh2細胞とを区別する報告がみられる。しかし、in vivoの研究は数も少なく、指標としての信頼性についてはまだ議論が定まっていない。我々は、Th1細胞を識別するためのケモカインとしてCXCR3を、同サイトカインとしてはIFN-γを、一方Th2細胞のケモカインとしてはCCR4を、同サイトカインとしてはIL-4を採用することとしてアジュバント関飾炎ラットの炎症滑膜組織での二重染色を実施し、その妥当性を検討した。その結果、CXCR3とIFN-γとのいずれかに陽性な細胞の90%以上がそれらに二重陽性、CCR4とIL-4とのいずれかに陽性な細胞の95%以上がそれらに二重陽性を示すこと、一方、CXCR3とIL-4およびCCR4とIFN-γに二重陽性の細胞はそれぞれ10%以下、及び5%以下に過ぎないことが明らかとなった。よって、Th1及びTh2細胞の動態を解析するための指標として、これらのケモカインとサイトカインを用いることの妥当性が証明された。 次いで、これらのケモカインを指標としてTh1およびTh2細胞を識別することとし、アジュバント関節炎における坐骨神経の関与を解析した結果、次のことが明らかになった。すなわち、あらかじめ坐骨神経を切除したアジュバント関飾炎ラットでは、アジュバント投与2-4週にかけて、全Th細胞に占めるTh1細胞の割合がTh2細胞のそれに比較して高かった。一方、疑似的神経切除を行ったアジュバント関節炎ラットでは、2週まではTh1細胞の割合が高かったのに対し、4週後ではTh2細胞の割合が高くなった。このことは、ラットアジュバント関節炎ラットにおける知覚神経の抗炎症作用を強く示唆する。
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Research Products
(2 results)