2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物の塩および酸化ストレスに関与する膜輸送系の分子解析
Project/Area Number |
02F02677
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
魚住 信之 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SRI Widyastuti 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 外国人特別研究員
|
Keywords | Kチャネル / シロイヌナズナ / 塩 / 原形質膜 / KAT1 / AKT2 / 細胞内局在性 / ストレス |
Research Abstract |
植物にとって塩は生長の妨げになる物質であり、光合成による酸化ストレスとも深く関与するため、除去または無毒化することが植物の成長維持に必要となる。塩害は植物の細胞内外のイオンバランスが崩れることに起因する。Naの侵入を細胞内主要イオンのKが防いでいる。本研究では、植物のKチャネルおよびその輸送体遺伝子の植物における役割と機能と細胞内局在性を分子生物学的手法により構造と機能を解析した。植物シロイヌナズナのKAT1はKを内向きに透過する輸送体であり、AKT2は両方向に輸送するチャネルであるが、その細胞内局在性は分かっていない。KAT1は酵母の原形質膜のK輸送体の変異を相補し、AKT2は相補しない。このことからKAT1は原形質膜、AKT2は細胞内小器官の膜に発現していると考えられる。KAT1とAKT2の細胞内局在性を明らかにするために、酵母、タバコ培養細胞およびシロイヌナズナ培養細胞にGFP融合蛋白質を発現させて観察を行った。AKT2については、シグナルが液胞膜に観察されたが、そのほかの膜にもシグナルが検出された。KAT1については、細胞内膜のいたるところに蛍光シグナルが観察され発現部位の特定にはいたらなかった。K輸送系の大量発現は、酵母においても植物細胞においてもそれぞれの成育には阻害的であることが今までの研究結果から予想され、このため、本蛋白質が十分発現しなかった可能性が考えられる。複数のキメラ蛋白質をK輸送体が破壊されている酵母の変異株に発現させてKの取込み活性を検討した。この結果、KAT1の膜貫通領域が存在するとKチャネルは原形質膜に移行することが分かった。KAT1とAKT2の膜貫通構造の相違は小さいことから、今後そのアミノ酸が以降に必要かを検討できると考えられる。この基礎的知見によって、Kチャネルの発現場所の特定と移行シグナルの解明に関する知見が得られた。
|