2004 Fiscal Year Annual Research Report
微小スケールの栄養不均一分布に呼応した海洋性遊泳細菌の代謝と挙動
Project/Area Number |
02F02727
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BARBARA Gregory Matthew 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 海洋細菌 / 遊泳運動 / 発光細菌 / 遊泳速度 / 共生 / 走化性 |
Research Abstract |
Dr.Barbaraはこれまで発光細菌の運動性に関わる研究を行ってきた。発光細菌を扱う理由は二つである。第一に、わずかな例外を除けば、発光細菌は全て海洋に生息する。このため海洋に生息する様々な細菌群集の中でも、とりわけ海洋環境に適応した一群と言える。第二に、発光細菌には、海水中に浮遊している種と、魚、イカなどに共生する種とがある。後者のタイプは宿主の発光器官の中に高密度に生息し、宿主から栄養を受け取る一方、宿主に発光性という性質を供与する。これらの共生種も宿主間を移動する際には必然的に海水中に浮遊した生活を送る。この、浮遊性の期間は効率よく宿主を見つけるための戦略が必要である。 Dr.Barbaraの仮説は、細菌の化学物質の検出能力が宿主の素早い発見を可能にし、さらに運動性が宿主への素早い接近を可能にする、というものである。彼は発光細菌、Photobacterium leiognathiと、その宿主ヒイラギとの関係について研究を行った。ヒイラギは卵から飼育が可能だが、卵にはこの細菌は存在せず、発生、成長の段階で定着する。彼は成長段階の異なるヒイラギを得て順次そこに定着しつつある細菌を分離し、その遊泳速度を測定した。その結果、次第に遊泳速度が速くなる傾向があることを明らかにし、後者の仮説が正しいことを証明した。 この研究は2004年の夏の飼育実験によって確認されたため、現在他のデータと併せて論文を投稿した。また、従来からの研究に関する論文を印刷、公表している。
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Research Products
(2 results)