2004 Fiscal Year Annual Research Report
養殖トラフグの「やせ病」原因粘液胞子虫に超寄生する微胞子虫に関する研究
Project/Area Number |
02F02736
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 和夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FREEMAN Mark Andrew 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 微胞子虫 / 粘液胞子虫 / トラフグ / やせ病 / 寄生虫 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
「やせ病」を呈する養殖トラフグの腸管上皮には3種の粘液胞子虫が寄生し、そのうちの2種は病気の発症に関わることが知られている。3種の粘液胞子虫のうちの2種には微胞子虫が超寄生している。微胞子虫も「やせ病」への関与が示唆されている。本研究では、粘液胞子虫と超寄生微胞子虫の分類学的位置づけを決定するため、それぞれからDNAを抽出し、分子生物学的に解析した。さらに、病原体の動態に関するフィールド調査を行うため、検出法としてのPCR法を開発した。 遺伝子解析には大分県内のトラフグ養殖場から提供された寄生虫株を用い、まず粘液胞子虫Leptotheca fuguのSSUrRNA遺伝子を増幅することに成功した。遺伝子情報がGenBankに登録されている他種の粘液胞子虫と比較した結果、L.fuguの系統的位置は既存の海産種および淡水種とかなり離れていることが分かった。次に、L.fuguおよびもう1種類の粘液胞子虫Enteromyxum fuguに超寄生する微胞子虫の遺伝子をシーケンスし、さらに電顕観察も行った結果、2種の粘液胞子虫に超寄生する微胞子虫は別種であることが明らかとなった。以上の寄生虫を種特異的および高感度に検出するPCR法を開発することにも成功し、それに基づいて、長崎県と大分のトラフグ養殖場において定期的な調査を行った。また、粘液胞子虫の生活環を解明するため、養殖生け簀網に付着している無脊椎動物を採集した。このサンプルをPCR検査して寄生虫の有無を調べたが、結果は陰性であった。以上の研究成果の一部は、2004年7月にチェコで開催された「第1回国際微胞子虫学会」で口頭発表し、現在、論文を投稿準備中である。
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