2003 Fiscal Year Annual Research Report
同所的に生息する食植性テントウ2種間の遺伝子流動の推定
Project/Area Number |
02J00007
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 憲生 北海道大学, 総合博物館, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 遺伝子流動 / ヤマトアザミテントウ / ルイヨウマダラテントウ / ニジュウヤホシテントウ / 交雑実験 |
Research Abstract |
研究課題「同所的に生息する食植性テントウ2種間の遺伝子流動の推定」の研究テーマの一環として、仙台でヤマトアザミテントウとルイヨウマダラテントウの2種を採集し、その雑種第一代・雑種第二代・及び戻し交雑個体を作成した。更に、作成した個体を10個体ずつアザミとルイヨウボタンで飼育し、それぞれの食草上での生存率の比較を行った。今回の結果では、雑種第一代・第二代及びルイヨウマダラテントウとの戻し交雑個体はルイヨウボタン上で良く生育するものの、アザミ上での生育率は極めて低い値を示した。一方、ヤマトアザミテントウはアザミのみで、雑種第一代とヤマトアザミテントウとの戻し交雑個体は両方の食草で高い生存率を示した。得られた結果の中で、雑種第一代に関する研究は過去にも行われており、二つの実験結果は大きく異なっていた。今回の実験では実際にテントウが利用している種類のアザミを用いており、このことが主要因として考えられる。従って、今回の実験結果の方がより自然条件を反映していると考えられ、以前の研究に基づき「自然界での雑種は極めて少ない」とされてきた2種間の遣伝子流動が、実際にはより多く生じている事も考えられた。 研究課題に関連して、ヤマトアザミテントウ・ルイヨウマダラテントウの近縁種であるニジュウヤホシテントウを用い、異なる食草を利用する集団間で遺伝子流動が妨げられているか否かについてミトコンドリアDNAを用いて検証した。その結果、食草が異なる集団間で遺伝的差異は認められず、食草による隔離は生じていないと推察された。この研究成果にいては、2003年の動物学会で口頭発表を行った。
|
Research Products
(2 results)