2002 Fiscal Year Annual Research Report
in vitro DNA複製系を用いた神経特異的複製因子の同定
Project/Area Number |
02J00017
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩田 博司 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | JCウイルス / RPA / P53 / Large T / replication / リン酸化 |
Research Abstract |
進行性多巣性白質脳症(PML)の病因ウイルスであるJCウイルス(JCV)は、ヒト脳組織特異的に複製することが示されているがその分子機構は明らかではない。本研究ではJCVの神経親和性のメカニズムをウイルスゲノムの増幅機構に着眼して解析を進めた。方法として、JCVゲノムの複製はウイルス早期タンパクであるLarge T以外は全てホスト側の複製因子を利用して行われることから、recombinant JCV Large T、S100 cell extract、JCVゲノム複製調節領域を有するplasmidを加えたin vitro JCV amplification systemを確立し、JCV感染により生じるJCV増幅関連因子の変化を解析した。その結果、1)JCVの増幅は非神経系細胞では弱く、神経系細胞で強いこと、2)JCV感染によりDNA複製因子の一つであるRPA(Replication Protein A)、およびp53がリン酸化されること、3)JCV Large TはDNA dependent protein kinase(DNA-PK)の抑制を介してRPA、p53の脱リン酸化を亢進させることが明らかとなった。さらに、PML患者脳を用いた免疫組織化学的解析により、JCVが感染しているoligodendrocyteでのみ、RPAが核内に凝集していることを新たに見出した。以上の結果、JCV感染を抑制する細胞側の応答とそれをウイルスタンパクが減弱させる一連の反応を分子レベルで明らかにすることができた。
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