2004 Fiscal Year Annual Research Report
景観構造と送粉者の行動パターンが稀少植物のジーンフローと絶滅リスクに与える影響
Project/Area Number |
02J00063
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 健太 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジーンフロー / 繁殖成功 / 送粉者組成 / 訪花種類 / 訪花頻度 / 結果率 / 花粉管数 / マルハナバチ |
Research Abstract |
植物のジーンフローや繁殖成功は、景観構造や送粉者の種類の影響を受ける。送粉者の組成は安定ではなく、自然の個体群変動に生態系改変が加わることで大きく変動する可能性がある。生態改変が植物の繁殖精巧に与える影響を理解するには、送粉者の種類と植物の繁殖成功の関係を調べることが不可欠である。そこで今年は、送粉者の種類によって繁殖成功がどう変わるかを、網室内の操作実験によって明らかにする。またその際に植物個体の密度の影響も検討した。 エゾエンゴサク、ミツバウツギ、タチギボウシなどのマルハナバチ媒植物を対象に、マルハナバチの種組成が繁殖成功に与える影響を網室による操作実験で調べた。その結果、ハチの種ごとに訪花特性、具体的には訪花の際に雄蕊・雌蕊と接触するかどうか、そして訪花に頻度が変わることが分かった。このことが植物の結実にどのような影響を与えるのかの検討を進めている。まず、一回の訪花において、どれくらいの花粉を雄蕊から持ち去り、どれくらいの花粉を柱頭に運び入れて花粉管が発芽するのかを、ハチの種間で比較している。その結果、花粉管の発芽数とハチの種ごとの訪花特性との関係が明らかになってきた。つぎに、結果率と種子生産量が、ハチの組成によってどのように変わるのかの検討を進めている。さらに、植物の密度の効果の検討も進めている。密度の高い植物パッチと低いパッチがあった場合、訪花に必要なエネルギーは高密度パッチの方が低く、ハチから好まれる可能性がある。しかし、ハチの種間競争が生じると、劣位の種が低密度パッチをより利用するようになり、低密度パッチ内の植物の結果率が上がる可能性がある。このような関係が、現在の解析を進めることで得られるかもしれない。
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Research Products
(1 results)