2002 Fiscal Year Annual Research Report
市場経済の各段階において労働組合が果たすべき役割に関する考察
Project/Area Number |
02J00078
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
押見 善久 北海道大学, 大学院・法学研究科, 特別研究員 PD
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Keywords | ベトナム / 労働組合 |
Research Abstract |
平成14年度は、もっぱらベトナムにおける労働組合の法的位置づけと役割につき研究した。その主な内容は以下のとおり。 1.労働組合の法的位置づけ ベトナム法において、労働組合は「政治-社会組織」として位置づけられており、自己の構成員を代表するに止まらず、未組織労働者の全体をも代表する権限を有している。 2.労働組合の組織 労働組合は、共産党の指導の下で、1998年労働組合条例にしたがって組織される。具体的には、全国的労働組合指導機関、産別労働組合指導機関、地方労働組合指導機関、基礎(単位)労働組合組織など労働組合条例の各章における規定に基づき、民主集中、思想統一の原則を体現するヒエラルキー構造となっている。 実質的には、各基礎において組織された労働組合はベトナム労働総同盟の組織に加入しなければならず、同一基礎における組合の併存は認められない。また、現地でのヒアリング調査によれば、基礎労働組合の役員選挙においてはあらかじめ共産党から指名された者(共産党員)が被選挙者となるケースが多い。 3.労働組合の機能と任務 労働組合の主要な機能は、工人・労働者の合法な権利・利益を代表・保護する機能、工人・労働者の教育と運動を組織する機能、および、労働者を代表して社会-経済および国家の管理に参加する機能である。 また、各級、領域における労働組合の任務は、社会-経済状況に応じて上記各機能を実現することである。 以上の研究を通じて、ベトナムにおける労働組合が、党と国家の政策にそって労働者を教育・動員し、右政策を労働および労働者の生活の現場において実現・定着させ、その適用を監視する準国家機関的組織であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)