2002 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御機構におけるリンパ管の役割に関する免疫学的研究
Project/Area Number |
02J00084
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江畑 典幸 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | リンパ管 / デスモプラキン / PECAM-1 / 透過電子顕微鏡 / ケモカイン |
Research Abstract |
1.抗デスモプラキン抗体によるリンパ管同定法 抗デスモプラキン抗体を用いて、ヒト腸管、歯肉および舌組織切片に対して行った免疫染色の光顕的・電顕的観察で、デスモプラキンがヒト組織内毛細リンパ管マーカーとして極めて有用であると結論するに至った。透過電子顕微鏡による免疫組織化学的検索において、細静脈や毛細血管ではデスモプラキンの発現は見られないこと、内皮細胞間のopen junctionやoverlapping junction,あるいはanchoring filamentなどリンパ管特異的な構造的特徴が観察される管腔のみ、抗デスモプラキン抗体によって染色されることを超微細構造学的に証明した。 2.リンパ管内皮細胞における白血球接着因子発現 種々の白血球接着因子のうち、リンパ管の発現する最も一般的な接着因子はPECAM-1であると結論するに至った。内皮細胞におけるPECAM-1の局在について、金コロイド標識二次抗体を用いた免疫染色を応用した透過電子顕微鏡下での検索を行った結果、PECAM-1については、血管内皮細胞が管腔側にのみ発現することに対して、リンパ管内皮細胞は、一般的に、管腔側のみならず基底膜側にも発現することを見いだした。このことは,組織内リンパ球が、基底膜側にPECAM-1を発現しているリンパ管内皮細胞と接着することが可能であることを意味する。さらには、リンパ管内皮細胞におけるケモカインの発現について検索を進め、ヒト腸管において中心リンパ管を含む粘膜固有層の毛細リンパ管が、通常、cys-cys chemokine receptor ligand 21(CCL21)を発現することを見いだした。このことは、腸管毛細リンパ管がCCL21レセプターを発現する樹状細胞、ナイーブT細胞およびセントラルメモリーT細胞の組織からリンパ管への移入をCCL21によって誘導する可能性を示唆するものである。
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