2004 Fiscal Year Annual Research Report
人工花序を用いた実験による、花序を訪れる訪花昆虫行動の解析
Project/Area Number |
02J00124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 博 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ディスプレイサイズ / ポリネーター / 人工花序 / 植物種選択 / 誘因効果 / 連続訪花 |
Research Abstract |
ある種の植物を訪れたポリネーター個体が次にどの種の植物を選択するのか、というポリネーターの意思決定は、同種間授粉/異種間授粉の割合を決める大きな要因となる。本研究では、2色(青と黄)の人工花序を2種の植物に見立て、Display size(その時点で開花している花の数)がポリネーター(エゾオオマルハナバチ)の植物選択に及ぼす影響を調べた。 その結果、エゾオオマルハナバチは、大きいDisplay sizeの人工花序を訪れたときほど、次にも同じ色の人工花序を選ぶ傾向が観察された。興味深いことに、異なるDisplay size間で花序あたりの総蜜量を等しくしても同様の結果が得られた。 では何故、大きいDisplay sizeの花序を訪問した後には、同じ色の花序を選ぶ傾向があるのだろうか?まず考えられるのは、大きいDisplay sizeでは花序あたりの総蜜量が多いため、ハチが学習のよって、蜜量を花の色を関連づけるというものである。しかし、花序あたりの総蜜量を等しくして実験しても結果は変わらなかった。一方、Display sizeが大きいときほど花序あたり滞在時間は長かった。ということはDisplay sizeは、蜜量よりも花序での滞在時間を通じて、エゾオオマルハナバチの植物選択に影響しているのかもしれない。 今日までDisplay sizeに関しては、花序への誘因効果と花序内連続訪花ばかりが数多く議論されてきた。本研究は、新たな意義<ポリネーターの植物種選択への影響>を提唱したものと言える。
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Research Products
(2 results)