2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工花序を用いた実験による、花序を訪れる訪花昆虫行動の解析
Project/Area Number |
02J00124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石井 博 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポリネーター / 行動様式 / 花序タイプ / 人工花序 |
Research Abstract |
ポリネーターの行動様式は、植物とポリネーターの組み合わせごとに異なる。この違いは、「花の寿命」や「花の性比」を始めとする、花や花序の進化に大きく影響する。しかし、違いの原因を体系的に説明できる研究はこれまでなかった。これは、訪花昆虫の行動様式に影響すると思われる様々な要因(ポリネーターの種類、花序タイプ、花の形態、蜜量、花の形、花序の密度、等々)が植物と昆虫の組み合わせごとに異なるため、個別に行われてきたこれまでの研究の比較からでは、各要因の影響力を個別に抽出するのが困難であるからと思われる。そこで人工花序を用いた実験を行い、各要因が訪花昆虫の行動様式にどれだけ影響しているかを直接評価した。 これまでの実験から、以下の4要因「花序タイプ(総状花序,円錐花序,散型花序の3タイプで実験)」「花序間距離(8cm,16cm,24cm,36cmの4パターンで実験)」「花序サイズ(7花-花序,13花-花序の2サイズで実験)」「蜜量や花序内の蜜分布パターン(一様分布・ランダム分布・傾斜分布の3タイプで実験)」と、これらの要因の組み合わせが、花序の誘引効果や花序内連続訪花数にどう影響しているのかが明らかになつできた。例えば「花序サイズが大きいと花序の誘引効果が増すが、その傾向は花序タイプごとに異なる」「花序間距離が長いほど花序内連続訪花数が多くなるが、その傾向も花序タイプごとに異なる」「すべての花序タイプにおいて一様に、花序あたりの蜜量が同じでも蜜分布が一様でないほうが花序内連続訪花数が少ない」こと等が明らかになった。この結果は、どのような条件の時に大きな花序をつくることが進化的に有利なのか?や、どのような環境でどのような花序形態が有利なのか?等を予測する上で大変重要である。
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Research Products
(1 results)