2002 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋間における気体交換のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
02J00164
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中山 典子 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気海洋 / メタンフラックス / 気体交換のメカニズム |
Research Abstract |
大気海洋におけるメタンフラックスを調査するために、南西諸島海域および南海トラフ〜種子島沖において観測を行った。南西諸島域において、熱水試料中の溶存メタン濃度及び主要成分から、現在の熱水活動の中心がNorth Big Chimneyであることが明らかになった。さらに、メタン炭素安定同位体比が軽く、エタン+プロパンに対するメタン濃度比が高いことから、溶存メタンの主体は微生物起源であることが示唆された。 南海トラフ〜種子島沖においては、大陸棚域および泥火山域に注目して、海洋におけるメタンポテンシャルやフラックス、その起源、由来深度を、間隙水・海水試料中のメタン濃度および炭素安定同位体比を測定しそれらの分布の特徴と、その他の化学組成、エタン濃度やその炭素同位体比、主成分濃度(塩化物イオンおよび硫酸イオン)のデータを組み合わせて解析を行った。全般にメタンに富んでおり、10〜100nmol/kgのバックグラウンドメタンを持っていることが明らかになった。特に種子島沖泥火山頂上付近で得られた試料は、層全体で非常にメタン濃度が高く(〜100μmol/kg)、山頂付近の海底直下約1m付近では約700μmol/kgもの高濃度が検出された。塩濃度についてもはっきりとした濃度異常が見られた。塩化物イオンは、1〜2m付近まで深度の増加と共に低くなる傾向が見られ、硫酸イオン濃度については海底直下から深度1m付近まで急激に減少し、2m付近ではゼロであった。さらに両測点では、間隙水中から0.2〜265μmol/kgのエタンが検出され、またC1/C2比が100以下であることから、有機物の熱分解による炭化水素ガスが相当量混合している可能性が示唆された。以上のことから、泥火山頂上およびその周辺に含まれている炭化水素は、地下深部での有機物の熱分解によるガスが海底面に供給されている可能性があることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] U.Tsunogai, F.Kouzuma, N.Nakayama, T.Gamo, S.Kaneko: "Development of multi-bottle gas-tight sampler WHATS for sampling sea-floor venting fluids"JAMSTEC J.Deep Sea research. 21. 91-95 (2002)