2004 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋間における気体交換のメカニズムに関する研究
Project/Area Number |
02J00164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 典子 東京大学, 海洋研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタン / メタン炭素安定同位体比 / 粘土鉱物脱水 / メタンハイドレート / 海底熱水系 / 海底泥火山 |
Research Abstract |
海洋環境とそれに隣接するリザーバー、大気および堆積物に目を向けて、それらの内部に存在するメタンの存在量、起源および各リザーバー間でのフラックスを地球システムという全球的視野から総合的に解明することを目的として研究を行った。メタンは、最も単純な有機物化合物であり地球上に普遍的に存在している。このようにありふれた存在でありながら地球環境中のメタンの挙動には未解明な点が多い。本研究では、メタンの存在量を定量するだけでなく、同時に得た試料のメタン炭素安定同位体比やその他の化学成分(Cl^-、SO_4^<2->およびエタン)についても分析し組み合わせて解析を行い、その起源や、生成・消滅のプロセスについて解明を行った。 沖縄トラフ伊平屋凹地における海底熱水系においては複数の起源を持つメタンガスが、熱水循環に伴い活発に海水中に放出されていること、そしてそれらのメタンは、生成および消滅過程の両方において、微生物と極めて密接に関連していること、海洋がきわめて大きなリザーバーであることを明らかにした。また、種子島沖海底泥火山帯においては、間隙水中のメタンの炭素同位体比と間隙水の酸素・水素同位体比の関係から、メタンハイドレートのもととなるメタンの生成原因と水の起源を探り、それぞれ有機物の熱分解起源、海底深部での粘土鉱物構造水が起源であることを明らかにした。これらの結果をもとに、粘土鉱物の脱水反応とほぼ等しい深度で生成したメタンが、泥ダイアピルにより海底直上まで運ばれるという物質移動プロセスを明らかにした。さらに、この流体が地下深部で生成したメタンを海底直下まで供給し、ハイドレート生成環境下でメタンハイドレートを形成していた可能性が極めて大きいことも、本研究で得られた結果から示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Deep Ocean Experiments with fossil fuel carbon dioxide : creation and sensing of a controlled plume at 4 km depth2005
Author(s)
Brewer, P.G., E.T.Peltzer, P.Walz, I.Aya, K.Yamane, R.Kojima, Y.Nakajima, N.Nakayama, P.Haugan, T.Johannessen
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Journal Title
J.Mar.Res. 63
Pages: 9-33
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[Journal Article] Initial results from a 4km CO_2 release experiment2004
Author(s)
Peltzer, E.T., P.G.Brewer, N.Nakayama, P.Walz, I.Aya, R.Kojima, K.Yamane, Y.Nakajima, P.Haugan, J.Hove, T.Johannessen
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Journal Title
Prepr.Pap.-Am.Chem.Soc.Div.Fuel Chem. 49・1
Pages: 429-430
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