2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00211
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
熊野 了州 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 原始的真社会性 / 進化 / アシナガバチ |
Research Abstract |
真社会性とは繁殖個体とワーカー個体の分化のある社会形態を指す。社会性昆虫のコロニーは幼虫と成虫との作用の上で維持されているため、幼虫から成虫に対する働きかけを含んだ生態的要因も重要になる。従来の真社会性進化の研究では、幼虫からの視点を含めたアプローチがほとんどないため、真社会性進化の包括的説明が不十分であった。本研究では、栄養交換を通して幼虫と成虫が相互作用するアシナガバチで、個体の生存や活動に直接的に関与する栄養資源の評価を成虫と幼虫の両面から行うと同時に、個体間の血縁度を推定して包括適応度を求めることで、真社会性が進化するための生態的要因と遺伝的背景の包括的解明を目指す一助として、本年度は未成熟個体の齢が成虫の行動に与える影響についての野外実験を福岡県福岡市東区の九州大学構内で行った。その結果、アシナガバチコロニーの真社会性維持において、齢の効果は大きいことが明らかになった。これらの結果はアシナガバチの社会において成熟した未成熟個体の存在自体が極めて重要であることを示唆する。 アシナガバチにおける真社会性進化に関する研究成果を以下の学会で発表した。 アシナガバチにおける利他行動に関する可塑的な意思決定と親による操作 熊野了州(北海道大・農・動物生態)・粕谷英一(九州大学・助教授) 第22回日本動物行動学会北海道大学2003年10月 社会性昆虫における可塑的な利他行動:どのような場面で利他的に振舞うのか? 熊野了州(北海道大・農・動物生態)・粕谷英一(九州大学・助教授) 日本進化学会2003年8月九州大学
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