2002 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン依存的タンパク質分解系におけるユビキチン鎖認識機構の解明
Project/Area Number |
02J00377
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 泰 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ユビキチン / プロテアソーム / タンパク質分解 |
Research Abstract |
細胞内において、機能タンパク質を厳密にかつ即効的に分解するシステムとして、ユビキチン依存的タンパク質分解系が脚光を浴びている.この系では、初めに、機能タンパク質がユビキチン鎖を付加され、次に、それを目印にして26Sプロテアソームがユビキチン化タンパク質を選択的に分解する.この場合、あるタンパク質に分解される運命にあるという選択性をもたらしているのが、ユビキチン鎖というシグナルであり、それを26Sプロテアソームが認識し捕捉する.つまり、この分解系において、26Sプロテアソームによるユビキチン化タンパク質の認識過程が最も重要なステップといえる.しかし、26Sプロテアソームによるユビキチン化タンパク質の認識機構はいまだ未解決であった. 今年度、本申請者は出芽酵母を材料とし、26Sプロテアソームとユビキチン鎖の両方に結合できるタンパク質としてRad23とDsk2を同定した.また、Rad23とDsk2とプロテアソームサブユニットRpn10との間に遺伝学的な相互作用があること、各々の遺伝子の破壊株においてユビキチン化タンパク質が分解されずに蓄積することを明らにした.これらの結果よりRad23とDsk2はユビキチン依存的タンパク質分解系において促進因子として働くことが示唆された.一方で、Rad23とDsk2が結合するプロテアソームサブユニットを同定し、プロテアソームサブユニットの新しい機能を明らかにした. 現在、Dsk2、Rad23を用いたプロテオミクス的な解析をすすめており、ユビキチン関連分子を多数同定した.次年度は、遺伝学的、細胞生物学的な手法を導入して、これらのユビキチン系とプロテアソームをつなぐ新しい分子群の機能解明を進める予定である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 佐伯 泰: "Ubiquitin-like proteins and Rpn10 play cooperative roles in ubiquitin-dependent proteolysis"Biochemical and Biophysical Research Communications. 293. 986-992 (2002)
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[Publications] 佐伯 泰: "Identification of ubiquitin-like protein-binding subunits of the 26S proteasome"Biochemical and Biophysical Research Communications. 296. 813-819 (2002)
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[Publications] 木村 弥生: "N-terminal modifications of the 19S regulatory particle subunits of the yeast proteasome"Archives of Biochemistry and Biophysics. 409. 341-348 (2003)
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[Publications] 田中 啓二: "実験医学 2月号"羊土社. 6 (2003)