2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00446
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斎藤 大樹 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | PGCs / 異種間生殖系列キメラ / 細胞移植 / 胚操作 / 発生工学 |
Research Abstract |
1.ゼブラフィッシュnos1遺伝子の3'末端非翻訳領域(3'UTR)と緑色蛍光蛋白(GFP)遺伝子を接続したキメラ遺伝子のmRNAを、様々な魚類の受精卵へ顕微注入した。その結果、キンギョ、ドジョウ、シロウオ(スズキ目)、ニシン(ニシン目)、メダカ(ダツ目)など、様々な分類群に属する魚類の始原生殖細胞(Primordial germ cells ; PGCs)をGFP蛍光により可視化することができた。 2.ドジョウとキンギョの可視化されたPGCsを10〜20体節期胚に単離し、それぞれ同種の胞胚期杯盤への移植を行なったところ、移植PGCsは宿主の生殖隆起に達した。このことは、胞胚期から体節形成期までPGCsの性質、特に空間認識機構が維持されていることを示し、胚発生の長期にわたる一貫したPGCsの移動機構の存在を示唆した。 3.可視化したPGCsを2.と同様の手法で異種胚へ移植した。コイ目魚間でPGCsを移植した場合は、供与体PGCsは宿主胚の移動様式に従って生殖隆起に到達した。一方、ドジョウとキンギョのPGCsをウキゴリ胚(スズキ目)へ移植した場合、供与体PGCsは初期体節形成期までは宿主のPGCsの移動様式に従ったが、それ以降の発生段階では生殖隆起形成域への移動が認められなかった。また、シロウオPGCsをキンギョに移植した場合、供与体PGCsは宿主の移動様式に従わなかった。これらの結果は、PGCsの移動機構は少なくともコイ目の魚種間では保存されていることを示している。しかし、系統的に遠い関係にある場合は、移動様式あるいは発生速度の違いにより、供与体PGCsの移動が宿主の制御から逸脱するものと考えられた。 本研究より、PGCsの生殖隆起への移動機構は種を超えて保存されている事が明らかとなり、可視化したPGCsを異魚種胚へ移植する事で種の壁を越えて生殖系列キメラを作出できることが示された。
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