2002 Fiscal Year Annual Research Report
特異な生理活性を有する海洋産天然物ノルゾアンタミンの不斉全合成研究
Project/Area Number |
02J00504
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐々木 実 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ノルゾアンタミン / アルカロイド / ゾアンタミン / 分子内Diels-Alder反応 / 骨粗鬆症 / 四級炭素構築 / 環化反応 / 光増感酸素酸化反応 |
Research Abstract |
本研究は骨粗鬆症治療薬としての優れた活性を示す海洋産アルカロイドであるノルゾアンタミンの不斉全合成を目指すものです。ノルゾアンタミンはABCDEFGの七個の環が縮環した極めて特異な立体構造を有しています。合成上の最大の課題はC環部に存在する4つの不斉四級炭素をいかに立体選択的に構築するかという点にあります。今年度は分子内Diels-Alder反応を鍵反応としC環部のC12位、C22位の二つの四級炭素を含む五連続不斉中心を立体選択的に一挙に構築し、ノルゾアンタミンABC環部の不斉合成に成功しました。分子内Diels-Alder反応の環化前駆体であるトリエンは文献既知である不斉の5-メチルシクロヘキセノンを出発原料とし、各々、独自の方法で短段階で合成したビニル銅試薬、フラン化合物の三成分連結、続くα-シリルフラン化合物の光増感酸素酸化反応を鍵反応として立体選択的に高収率で合成しました。さらにCDEFG環部モデル化合物の合成研究に着手し、C環部に相当するケトアルコールのワンポットでの分子内アシル化反応、続くエノールラクトンに対するメチル化反応を鍵反応としC9位四級炭素の立体選択的構築に成功すると共にそれから導いたヨウ化物とシトロネラールから不斉ニトロアルドール反応を鍵反応とし短段階で合成したアルデヒドであるアミンセグメントとの1,2-付加反応によるカップリング反応、続く酸性条件下における連続環化反応によりCDEFG環部モデル化合物の合成に成功しました。
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