2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00506
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加々田 剛 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 高分子ゲル / 摩擦 / 界面 / 相互作用 / 水 / 潤滑 / 対イオン / レオロジー |
Research Abstract |
高分子ゲルという素材をより幅広く様々な分野へ応用するに不可欠となる「ゲルの表面性状」に関する知見を,「摩擦」という物理現象から検討するのが本課題研究の趣旨である. この趣旨に従い研究を行なった結果,主に以下2つの重要な知見が得られた. 1.ゲル表面で生じる摩擦力の滑り速度依存性 ゲル表面が摩擦基板から静電的な斥力を受けている場合,摩擦力Fと滑り速度vはF∝v^α(0【less than or equal】α【less than or equal】1/2)の関係にあり,このαの値はある臨界の荷重を境として0から1/2へと急激に変化することが実験的に明らかとなった.表面間相互作用が斥力である場合,その界面には溶媒層が形成され,その流体潤滑による粘性抵抗(F∝v^1)が摩擦を支配するであろうと予測していた.この予測と実験結果の不一致は,ゲル表面の性状だけではなく,バルク部分の性状も何らかの寄与をしていることを示唆する. 2.反発相互作用下での静止摩擦性状 界面に静電的斥力が働くゲル-摩擦基板どうしの摩擦挙動は(1)摩擦界面に剪断を加えた直後においては互いに滑り合わず,(2)ある臨界の剪断応力(静止摩擦力)σ_cが界面に加わって初めて相対的に滑り出すことを実験的に確認した.更にこのσ_cは、剪断速度にほとんど依存しないが系の温度には強く依存し、高温であるほど小さい(滑りやすい)ことが明らかとなった.表面間に斥力が働いているにも関わらず静止摩擦を示す理由としては(1)電解質ゲル表面における水分子の特異性状(2)ゲル表面のモルフォロジーによる影響(3)対イオンを介しての間接的な表面間吸着相互作用などの可能性が考えられる.いずれの効果・影響が静止摩擦を引き起こしたのかについては断定に至っていないが,流体潤滑の立場では静止摩擦の存在自体が考えられず,静電的斥力が働くゲル表面の特異性がより明確となった.それと同時に,特殊な相互作用が界面を支配している可能性を示唆するに至った.
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Research Products
(1 results)