2003 Fiscal Year Annual Research Report
2-アジド-2-デオキシ糖を用いるグリコシル化反応の開発とオリゴ糖鎖合成への展開
Project/Area Number |
02J00512
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 敏史 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 複合糖質 / 2-アセトアミド-2-デオキシン-β-グリコシド / 2-アジド-2-デオキシ糖 / β-選択的グリコシル化 / ジフェニルホスファート / プロピオニトリル / β-マンノシド / イミダート |
Research Abstract |
多くの複合糖質オリゴ糖鎖に存在する2-アセトアミド-2-デオキシ-β-グリコシド結合を構築する場合、2-アセトアミド-2-デオキシ糖供与体を用いるとグリコシド結合よりオキサゾリン形成が優先するため、フタロイル基等で保護したアミノ糖誘導体を用いてグリコシル化後、脱保護、アセチル化を経る手法が踏襲されてきた。しかし最近、複雑なオリゴ糖鎖合成において脱保護が障害となる場面が多くみられることから、抜本的な問題解決が急務となっている。そこで私は、アセトアミド基に容易に変換可能なアジド基に着目し、2-アジド-2-デオキシグルコシルジフェニルホスファートを用いる高立体選択的グリコシル化反応を開発した。本年度は2-アジド糖供与体を用いる本法のさらなる適用系拡大を目指し、2-アジドマンノース供与体を用いるβ-選択的なグリコシル化反応を行った。 3,4,6位をベンジル基で保護した2-アジド-2-デオキシマンノシルジフェニルホスファートを糖供与体としてプロピオニトリル中にてグリコシル化反応を行うと、目的とするグリコシドは低収率でしか得られず、溶媒であるプロピオニトリルを介してカップリングしたイミダートが主生成物となることが分かった。また、ニトリル効果から期待されたβ-選択性も観察されなかったことから、この反応系にはプロピオニトリルは不適当であると判断し、以前開発したβ-選択的なマンノシル化反応を参考に、塩化メチレン中にて反応を行うことにした。その結果、反応性の高い糖受容体とのカップリングの際には比較的高いβ-選択性が得られたものの反応性に乏しい糖受容体の場合はβ-選択性が得られなかった。一方、2-アジドマンノースの4,6位をベンジリデンアセタールとして保護した糖供与体を用い、塩化メチレン中にてグリコシル化反応を行うと、糖受容体の反応性によらず良好なβ-選択性が得られることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tsuda, T. et al.: "Direct and Stereoselective Construction of β-Mannosidic Linkages Capitalizing on 4,6-O-Benzylidene-Protected D-Mannopyranosyl Diethyl Phosphite"Heterocycles. 59・2. 509 (2003)
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[Publications] Tsuda, T et al.: "A Stereocontrolled construction of 2-azido-2-deoxy-1,2-β-glycosidic linkages utilizing 2-azido-2-deoxyglycopyranosyl Diphenyl Phosphates"Tetrahedron Letters. 44. 6453 (2003)