2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00538
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 政博 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 裁判員 / 司法参加 / 調査 / 集団意思決定 / 陪審 / 参審 |
Research Abstract |
本年度は、1月より引き続き、各地で行われた弁護士会や市民団体主催の模擬裁判において、法曹及び市民の参加者に対する質問紙調査を行った。これは、裁判官・弁護士等の法律家と市民が実際に評議した際にどのような反応を見せるかについて、これまでほとんどデータがなかったからである。 本研究では、本年度は札幌・大阪・埼玉・広島・横浜・東京で行われた模擬裁判において、調査を行った。模擬裁判には、現職裁判官・弁護士・一般市民が参加した。調査では、評議の前後に、裁判員制度に対する態度、評議に参加すればどの程度発言できるか等を尋ねるとともに、集団主義尺度、社会的勢力認知尺度への回答を求めた。 上記調査のうちで、札幌・大阪・埼玉・広島での調査結果について、「自由と正義」(日本弁護士連合会発行)誌上で報告した。このような調査に基づき、市民の意見を評議の前後で統計的に検定しながら知ろうとした試みは、他になされていない。司法改革の議論を実証的に進める上で貢献ができたものと考えられる。 特に、集団主義尺度と「裁判官の意見をどれくらい重視するか」について相関がなかったことは、「日本人は集団主義的で権威に弱く、国民の司法参加はそのために失敗する」というステレオタイプな議論に対する有力な反論になるとともに、実証的な研究によらずに国民の司法参加や制度の設計について議論を進めていくことの危険性を示すことができたと考えられる。 以上の研究結果については、上記雑誌論文の他にも、法と心理学会、社会心理学会の大会で逐次報告した。
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Research Products
(1 results)