2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型海水殺菌技法の開発と魚介類の飼育および食品衛生への応用に関する研究
Project/Area Number |
02J00542
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
笠井 久会 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 電気分解 / 電解海水 / 殺菌 / 衛生管理 / 漁港 / カキ / Norovirus |
Research Abstract |
本年度,まず海水殺菌装置を使用する飼育施設ならびに対象とする病原体ごとのマニュアルを作成した。また,貝類の衛生管理に用いる殺菌装置の比較検討を行い,最適殺菌装置の選択を行い,さらに漁獲から加工場に至る間の水産物の衛生管理に向けた使用海水の最適殺菌条件を検討し,実用化に向けたマニュアルを作成した.その成果は以下の通りである。 1.昨年度の成果より,海産種苗生産現場に甚大な被害を及ぼすウイルス性神経壊死症の原因ウイルスNNVに対しては海水電解殺菌装置が適していた。同装置で処理した海水でヒラメを飼育しても問題がなく,飼育用水の殺菌にはNNVが不活化される有効塩素濃度2.4mg/L以上の濃度での運転を推奨した。飼育排水の殺菌には,流量の問題から紫外線やオゾンを用いた殺菌装置では対応できず,本装置のみが対応可能であった。 2.カキの浄化に紫外線殺菌海水や次亜塩素添加海水が用いられているが,低コストで大量の海水を処理することが出来る海水電解殺菌装置が最も適していた。北海道,宮城県および広島県で大腸菌の浄化試験を行い,紫外線と同等の除菌効果が得られた。また,培養不能なノロウイルスの代替ウイルスとしてFCVを供試し,電解処理したところ,有効塩素濃度0.43mg/Lで十分な不活化効果が得られた。同じ科に属すノロウイルスも同等の感受性を示すとすれば,感染性のノロウイルスを含まない浄化用水は,海水電解殺菌装置により十分得られることが明らかとなった。 3.港内海水中の大腸菌および大腸菌群による漁獲物の汚染を防ぐには,海水電解殺菌装置が有効であったため,漁船8隻の取水管に本装置を取り付けた。環境へ悪影響を与えないため,十分な殺菌効果が得られる最低濃度である0.3mg/Lでの運転を推奨した。本装置により得られる殺菌海水の利用と,温度管理や他の衛生管理対策との相乗効果で,漁獲物の衛生管理の向上につながると考える。
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Research Products
(5 results)