2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00557
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 俊一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 幾何学的フラストレーション / スピンアイス / パイロクロア格子 / 磁性 / モンテカルロシミュレーション / クラスター変分法 |
Research Abstract |
パイロクロア型酸化物、特に、スピンアイスと呼ばれる系のゼロ磁場相転移と磁化過程における双極子相互作用の効果を研究した。詳細は以下のとおりである。 1、ゼロ磁場相転移(クラスター変分法の適用) 長距離力である双極子相互作用を考慮したモデル(双極子スピンアイス模型)をクラスター変分法で解析を行った。その結果、低温における相転移を確認した。低温相はMelkoらのグループがモンテカルロシミュレーションで発見したものと同じものであった。しかしながら、転移点は期待していたものよりもかなり高いものであった。これは、長距離相互作用を平均場的に扱ったためと考えられる。(日本物理学会第58回年次大会、東北大学) 2、ゼロ磁場相転移(モンテカルロシミュレーション) 双極子スピンアイスのゼロ磁場における交換法を用いたモンテカルロシミュレーションを行った。その結果、アイスルール状態と常磁性を分けるSchottkey型ピークの低温側に比熱の異常を見つけた。しかしながら、残留エントロピーを完全には解消するには至らなかった。Melkoらと同様のループアルゴリズムにより彼らの結果を追試した。(日本物理学会2003年秋季大会、岡山大学) 3、[110]-磁場中の双極子スピンアイス これまで、[110]-場中のスピンアイス物質の基底状態としては"Q=X"配位が提案されていた。しかしながら、この配位が基底状態である証明はなく、反対意見も存在していた。系をIsingスピン鎖に分解することにより"Q=X"配位が強磁場における基底状態であることを証明した。また、実験によってこの基底状態に到達することができることをモンテカルトシミュレーションで示した。(物性研短期研究会、フラストレーションが創る新しい物性)
|