2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00557
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉田 俊一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁性 / クラスター変分法 / パイロクロア / スピンアイス |
Research Abstract |
パイロクロア型酸化物、特に、スピンアイスと呼ばれる系の磁化過程などを研究した。研究実施計画の目的1,2の進捗状況は以下の通りである。 1.クラスター変分法に磁気双極子相互作用を導入した計算を開始した。16副格子模型を用いた自然逐次法の数値計算プログラムを作成し、双極子スピンアイスの零磁場相転移と磁場中相転移を解析する準備を整えた。 2.クラスター変分法を用いてパイロクロア格子を構成する四面体内の4スピン相関を取り入れた解析を行った。主に最近接相互作用のみを考慮したスピンアイス模型を重点的に解析し、その異方的磁化過程と実験並びにMonte Carloシミュレーションで報告されている(1)残留エントロピー、(2)液相気相様相転移の関係を調べた。(1)に関しては磁場方向依存性が残留エントロピーに与える影響を解析し、クラスター変分法による残留エントロピーの近似値をあらゆる磁場方向について求めることに成功した。(2)については、[100]方向と[111]方向を調べた。その結果、[100]方向の磁化過程においてMonte Carloシミュレーションで報告されている液相気相様相転移は厳密な意味での相転移(臨界現象)ではないことを示すことに成功した。シミュレーションでは有限サイズ効果のため非常に鋭いScho-ttkey型の比熱異常が相転移のように見えたと考えられる。この結果は物性研究所短期セミナー(6月)で報告した。[111]方向についても最近接相互作用のみでは実験で報告されているような相転移が起こらないことを解明した。
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