2002 Fiscal Year Annual Research Report
立体特異的鎖状分子構築法を機軸とする大環状マクロライド系天然物の不斉全合成研究
Project/Area Number |
02J00558
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 亮一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | エポキシド / トリメチルアルミニウム / 立体特異的メチル化反応 / Scytophycin C / Buckwald / エナミド / Misakinolide A / クライゼン転位 |
Research Abstract |
本研究は、エポキシドのトリメチルアルミニウムによる位置選択的メチル化反応を用いた立体特異的鎖状分子構築法を活用して大環状マクロライド系天然物の不斉全合成を行うことを目的としています。本年度は、ハワイオアフ島の青緑藻類から単離、構造決定された、強力な抗腫瘍活性および抗カビ活性を有するScytophycin Cの各セグメントを上記のメチル化反応を用いて高立体選択的に構築し、続いて各セグメントを向山アルドール等を用いて連結させ、山口法によるマクロラクトン化を経て、最後に高井反応によるトランスビニルアイオダイドの合成とそれに続くBuckwaldの反応条件を用いたN-メチルホルムアミドとのカップリング反応により末端N-メチルホルムエナミド部位を構築し、Scytophycin Cの不斉全合成を達成しました。なお、最後のエナミド部位の構築は、今までほとんどの天然物の全合成においてアルデヒドとN-メチルホルムアミドとの脱水縮合によるもので、収率が20〜50%位と良いものではありませんでしたが、このBuchwaldの条件を用いたものでは85%とかなり高い収率で構築することができました。 また、別にこのエナミド合成法を用いて簡単な直鎖の三置換エナミドを単一の幾何異性体として合成し、このものに三置換ビニルブロマイドから調製したビニルリチウムを1,2-付加させるとリチウムアルコキシド中間体からアザクライゼン転位が室温で進行し、4級連続不斉中心を有する1,5-ジアルデヒド誘導体が単一のジアステレオマーとして78%の収率で得られることを見出しました。このように4級連続不斉中心を単一のジアステレオマーとして高収率で合成できたことは特筆に値します。 現在は、沖縄の海綿から単離、構造決定されたMisakinolide Aの不斉全合成にとりかかっています。
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