2003 Fiscal Year Annual Research Report
人工酵素としての光学活性アンモニウムヒドロキシドの創製
Project/Area Number |
02J00562
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 三舟 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光学活性四級アンモニウム塩 / 相間移動触媒 / 不斉アルキル化反応 / α-アミノ酸アミド / ビシナルジアミン / 二級アルキルハライド |
Research Abstract |
我々がこれまでに開発した光学活性四級アンモニウム塩を相間移動触媒とした不斉アルキル化反応は、様々な置換様式の光学活性四級アミノ酸を合成できる強力な手法である。本法は有機触媒反応であるため高価で毒性の高い遷移金属を用いる必要がなく、得られた生成物に痕跡量の金属種が混入する可能性もないので、合成化学的な価値は非常に高い。また、同様の有機触媒反応と比較しても本触媒は例を見ないほど高活性であり、現在のところ光学活性四級アミノ酸を有機触媒的に合成できる唯一の手段である。今年度も本触媒反応系の適用範囲のさらなる可能性を見出し、合成化学的な価値を揺るぎないものにするために、α-アミノ酸アミド誘導体を基質とした不斉アルキル化反応の検討を中心に研究を行った。 相間移動条件下におけるα-アミノ酸エステル類の不斉アルキル化反応に関してはこれまでに数多くの報告がなされているが、その一方でα-アミノ酸アミドに関する知見はほとんど得られていないのが実情である。α-アミノ酸アミドはヒドリド還元により容易にビシナルジアミンへと変換可能であるが、これらビシナルジアミンの光学活性配位子としての、あるいは天然物の部分骨格としての価値を考慮すると、光学活性α-アミノ酸アミドの触媒的合成法の開発は非常に重要な課題であると言える。そこで、前述の光学活性四級アンモニウム塩を用いてアルキル化反応を行ったところ、通常不活性とされる二級のアルキルハライドを用いた場合にも非常に高いエナンチオ選択性で反応が進行することを見出した。
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Research Products
(1 results)