2002 Fiscal Year Annual Research Report
Rh錯体触媒によって合成された置換ポリアセチレンの光吸収帯の新分子設計コンセプト
Project/Area Number |
02J00584
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
馬渡 康輝 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ロジウム錯体 / ポリアセチレン / 立体規則性重合 / 光吸収帯 / 色彩可変 / カラムナー / 自己組織化 / ラセンポリマー |
Research Abstract |
1,昨年度の結果:Mawatari et al.,Macromolecules 2001,34,3776-3782に基づき、パラ位に炭素数5個の分岐アルコキシ基を有するフェニルアセチレンモノマーを系統的に合成し、ロジウム錯体触媒:[Rh(norbornadiene)Cl]_2の存在下、重合溶媒としてエタノール(EtOH)やトリエチルアミン(NEt_3)を用いて、20℃、2時間重合を行った。ポリマーはアルコキシ基の分岐位置に関わらず75〜95%と非常に高収率で得られ、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)より数平均分子量7万〜12万と算出された。生成ポリマー主鎖の幾何構造の解析を^1H NMR、共鳴ラマン、電子スピン共鳴(ESR)を用いて行い、いずれのポリマーもほぼ100%シス-トランソイド構造である事を明らかにできた。 2,生成ポリマーの色は重合溶媒に大きく依存し、EtOHの場合は黄色(Poly-Y)であり、NEt_3の場合は赤茶色(Poly-R)であった。拡散反射紫外可視吸収スペクトル(DRUV-Vis)測定では、Poly-Yは440nmに吸収極大を示し、Poly-Rは500nmに示した。更に、Poly-Rの吸収端は800nm以上にあり、光吸収帯は可視部全体に広がり、近赤外領域まで拡大していることが明らかになった。いずれも同一の主鎖構造(シス-トランソイド構造)を有することがラマンスペクトルから明らかであるため、ポリマー色の違い、即ちの吸収波長の違いは主鎖共役鎖長と関係せず、高次構造の違いに依存すると考えられた。粉末X線回折(XRD)測定結果から、Poly-Yはほぼ非晶であり、Poly-Rは結晶化度が非常に高く、その結晶構造はカラムナー構造であることが明らかになった。更に、Poly-Rを約100kg/cm^2で加圧処理すると、ポリマー主鎖のシス-トランス異性化を伴いカラムナー構造が崩壊し、吸収極大が約50nm短波長シフトすることがDRUV-Vis、XRD測定から明らかになった。 上記1及び2より、ロジウム錯体触媒を用いて合成した、パラ位に分岐アルコキシ基を有するポリフェニルアセチレンの光吸収帯は、重合溶媒により可変であり、その原因はポリマーの高次構造の変化によるものであることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)