2002 Fiscal Year Annual Research Report
特異な空間トポロジーを持つ低次元導体の創生とその新規量子現象の探索
Project/Area Number |
02J00588
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
常田 琢 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トポロジカル物質 / 低次元導体 / 結晶成長 / ナノチューブ / 電荷密度波 |
Research Abstract |
1 リング・8の字型結晶の結晶学的考察 1999年以来、NbSe3トポロジカル物質が化学輸送法によって合成できることが知られていたが、その生成機構はいまだ未知のままであった。電子顕微鏡観察を通じ、この生成機構は一種のテンプレート成長である事を証明した。反応過程の中で、一部の原料セレンは液滴となる。液滴の表面張力により、NbSe3微結晶は球表面上に吸着され、液滴に巻きつくように成長する、というものである。加えて、メビウス・8の字型のNbSe3結晶が生成される際に特有のひねりが加わる原因は、対称性に基づく結晶の弾性特性にあることを明らかにした。 2 NbSe3トポロジカル結晶の電荷密度波(CDW) トポロジカル結晶の電荷密度波状態には、リング・メビウスリング・8の字型リングのようなトポロジークラスごとに特徴的な現象が起きることを発見した。 (1)直線状結晶・リング・8の字結晶ではそれぞれCDW転移温度にずれがある。これは各タイプの結晶中にそれぞれ特徴的な残留応力が生じ、格子系の変形を媒介にCDWに影響を及ぼしているためだと思われる。 (2)リング結晶に関するCDWの非線形I/Vに、振動的な振る舞いが見られる。リング試料の右回りパス・左回りパスを通るCDW電流の干渉効果の現れであろう。 3 ナノチューブ試料に対する電気測定手法の開発 Helsinki University of Technologyへの長期滞在を通じ、誘電泳動によってナノスケール試料を配置・配列させる操作技術を開発した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.TANDA, T.TSUNETA, Y.OKAJIMA, K.INAGAKI, K.YAMAYA, N.HATAKENAKA: "A Mobius strip of single crystals"Nature. VOL 417. 397-398 (2002)
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[Publications] T.Tsuneta, S.Tanda, K.Inagaki, Y.Okajima, K.Yamaya: "New crystal topologies and the charge-density-wave in NbSe3"Physica B : Physics of Condensed Matter. (to be published).