2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00598
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本間 健 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 聴覚障害 / 感覚代行 / タクタイルエイド / 触覚ディスプレイ / 圧電素子 / 力学モデル / 等価回路 / バーチャルリアリティ |
Research Abstract |
本研究の目的は,多様な触感覚を提示できる触覚ディスプレイを開発し,それを使って聴覚に障害をもつヒトに対して分かりやすい音声情報の補助を行うことである.今年度はその最初の段階として,広周波数域の触覚振動刺激を提示するための小型アクチュエータの開発指針を得ることと,広い周波数域の振動に対するヒトの知覚特性を調べることの2点を目標とした.具体的には,以下の2点を行った. 第1に,広い周波数域で安定して手指皮膚に振動刺激を提示できるアクチュエータを開発するため,小型の圧電素子アクチュエータで皮膚に振動を与えるときの力学モデルを構築した.また,実際に作成した圧電素子からなる高密度の触覚ディスプレイを使って,指先皮膚に振動を与える実験を行い,このモデルの有効性を確かめた.さらに,このモデルを用いたシミュレーションの結果から,さらに多様な触刺激の提示に適するように,触覚ディスプレイを改良する指針を得た. 第2に,広い周波数域の振動に対するヒトの知覚特性を調べる観点から,触覚ディスプレイと手指との接触状態による触覚閾値の変化を心理物理実験により調べた.具体的には,振動周波数を10〜240Hz,触覚ディスプレイと手指との接触力を15〜600gfに設定し,人差し指での振動閾値を測定した.この結果,接触力を15gfから600gfに増すと振動閾値は約5dB減少し,接触力を増すほど手指の触覚の感度は若干鋭くなることが分かった.しかし,その感度の変化は小さく,本研究で要求する触覚ディスプレイを設計する際に,手指とディスプレイの接触状態の変化はあまり考慮しなくとも良いことが分かった. 以上の成果を受け,来年度は,広周波数域の振動刺激を提示できる高密度触覚ディスプレイを実際に完成させる.そしてこれを利用し,多様な触刺激に対するヒトの知覚特性をさらに調べ,音声信号処理の方法の検討へ移る計画である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Homma: "Measurement of mechanical characteristics of a finger pad surface in the design of a tactile display"Journal of Robotics and Mechatronics. 15・2. (2003)
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[Publications] 本間 健: "触覚ディスプレイの設計を目的とした指先皮膚の機械特性の測定"日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会 '02 講演論文集. (CD-ROM). (2002)
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[Publications] 本間 健: "指先皮膚インピーダンス特性に基づいた触覚デバイスの動特性の検討"ヒュ-マンインターフェースシンポジウム2002論文集. 533-536 (2002)
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[Publications] 本間 健: "生体力学モデルに基づく触覚ディスプレイの設計"日本バーチャルリアリティ学会第7回大会論文集. 153-156 (2002)
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[Publications] 本間 健: "圧電アクチュエータを用いた触覚ディスプレイ設計のための力学モデル -実験による力学モデルの信頼性の検討-"日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会 '03 講演論文集. (CD-ROM). (2003)
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[Publications] 荒井崇宏: "触覚インタフェイス装着時における接触力を考慮した手指の振動閾値の測定"日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス講演会 '03 講演論文集. (CD-ROM). (2003)