2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるmRNAの安定性による制御機構の解明を目指した遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
02J00616
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 昭徳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / メチオニン / mRNA安定性 / シスタチオニンγ-シンターゼ / 突然変異株 / 分子生物学 |
Research Abstract |
mRNAの安定性による制御は迅速で厳密な制御を可能にする遺伝子発現レベルでの制御機構であるが,植物では詳細な分子機構の解明はこれからの課題となっている.メチオニン生合成の鍵となる段階を触媒するシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS)遺伝子はメチオニン添加に応答したmRNAの安定性による制御を受け,CGS遺伝子の第1エキソンがこの制御機構において必要十分な領域であるということが明らかにされている.この制御機構に関わるトランス因子を遺伝学的に同定することを目的としてCGS遺伝子の第1エキソンにみられる制御機構に関わるトランス因子に変異を持つと期待される突然変異株を分離している.今年度は得られた突然変異株(候補株#57)において以下の研究を行った. 1.候補株#57にCGS遺伝子の第1エキソンとGUS遺伝子を繋ぎ,CaMV35Sプロモーターの制御下においた融合遺伝子を一過的発現系により導入したところ,親株と比較して非メチオニン添加時でも2倍,メチオニン添加時では4倍のGUS活性を示した. 2.候補株#57におけるCGS mRNAの安定性を解析したところ,親株ではメチオニン添加時に分解が強く促進されるのに対して,候補株#57ではその効果が弱く,結果としてCGS mRNAの蓄積量が増加していた. 3.原因遺伝子のポジショナルクローニングのために詳細なマッピングを行い,第2染色体の中央部約800kbpまで領域を狭めることができた.この領域にはメチオニンの生合成および代謝に関わる遺伝子は存在しないと予想される. 以上のことから,候補株#57はCGS遺伝子の第1エキソンにみられる制御機構に関わる因子に変異を生じた結果,メチオニン添加に対する応答が弱くなった突然変異株であると考えている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kimihiro Ominato: "Identification of a short highly conserved amino acid sequence as the functional region for post-transcriptional autoregulation of the cystathionine γ-synthase gene in Arabidopsis"The Journal of Biological Chemistry. 277. 36380-36386 (2002)
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[Publications] Akinori Suzuki: "The first exon cording region of cystathionine γ-synthase gene is necessary and sufficient for downregulation of its own mRNA accumulation in transgenic Arabidopsis thaliana"Plant and Cell Physiology. 42・10. 1174-1180 (2001)