2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるmRNAの安定性による制御機構の解明を目指した遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
02J00616
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 昭徳 北海道大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロイヌナズナ / メチオニン / mRNA安定性 / シスタチオニンγ-シンターゼ / 突然変異株 / 分子生物学 |
Research Abstract |
mRNAの安定性による制御は迅速で厳密な制御を可能にする遺伝子発現レベルでの制御機構であるが,植物では詳細な分子機構の解明はこれからの課題となっている.メチオニン生合成の鍵となる段階を触媒するシスタチオニンγ-シンターゼ(CGS1)遺伝子はメチオニン添加に応答したmRNAの安定性による制御を受け,CGS1遺伝子の第1エキソンがこの制御機構において必要十分な領域であるということが明らかにされている.この制御機構に関わるトランス因子を遺伝学的に同定することを目的としてCGS1遺伝子の第1エキソンにみられる制御機構に関わるトランス因子に変異を持つと期待される突然変異株を分離している.今年度はCGS1 mRNAの安定性が増加していたcms1(CGS1 mRNA stability)突然変異株において以下の研究を行った. 1.cms1変異株におけるS-アデノシルメチオニン(CGS1遺伝子の転写後制御のエフェクター)の蓄積量を解析したところ,cms1変異株では2倍弱増加していた.このためcms1変異株はエフェクターの減少によりCGS1遺伝子の発現が増加した代謝系の変異株ではなく,転写後制御に関わる因子の変異株であることが示唆された. 2.原因遺伝子のポジショナルクローニングのために詳細なマッピングを行い,第2染色体の中央部,約30kbpまで領域を狭めた.この領域において野生型株と塩基配列を比較したところ,At2g25320遺伝子に1塩基置換が生じていた.また,At2g25320遺伝子のコード領域にT-DNAが挿入されている形質転換植物におけるCGS1 mRNAの蓄積量が増加していたことから,At2g25320遺伝子が原因遺伝子であると決定した. 以上のことから,CMS1遺伝子の発現がCGS1遺伝子の転写後制御が十分に機能するためには必要であると考えている.
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Research Products
(3 results)