2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラジオルミノグラフ法による水素吸蔵合金中の水素挙動の解析
Project/Area Number |
02J00623
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
本間 啓史 室蘭工業大学, 工学部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 水素吸蔵合金 / Ti-Cr二元系合金 / 水素拡散 / BCC相 / ラーベス相 / ラジオルミノグラフ法 |
Research Abstract |
近年,BCC相とラーベス相の二相構造を有する水素吸蔵合金が注目を集めている.本研究では,水素の放射性同位元素であるトリチウムをトレーサーとして用いるラジオルミノグラフ法により,TiCr_2ラーベス相近傍組成のTi-Cr二元系合金中の水素分布を観察し,水素拡散挙動と形成相および微細組織との関係を検討した. 試料はTi_<50>Cr_<50>,Ti_<40>Cr_<60>およびTi_<30>Cr_<70>合金であり,アルゴン雰囲気下でアーク溶解法により溶製した.得られたインゴットを所定のサイズに切り出した後,1300℃および1400℃で熱処理を施し,実験に供した.X線回折測定によりすべての試料がBCC相とラーベス相の二相構造であることを確認した.ラジオルミノグラフ観察の結果,試料の水素添加面における水素分布は不均一であり,試料中の局所的な領域における水素濃度はBCC相よりもラーベス相の割合の多い領域で高いことが明らかになった.水素添加面の深さ方向における水素分布を観察したところ,水素濃度は試料表面近傍で高いことがわかった.この合金中のトリチウムを室温で拡散させ,濃度プロファイルを測定してトリチウムの拡散係数をデータ解析用パソコンにて算出した.得られた拡散係数は10^<-12>m^2/sのオーダーの値であり,ラジオルミノグラフ法を応用することにより表面効果の影響を受けないバルク中の拡散係数が得られたものと考えられる.また,この値は文献値より外挿して求めたβ-Ti中のトリチウムの拡散係数2×10^<-11>m^2/sよりも小さいことから,ラーベス相中の水素の拡散はBCC相中よりも遅いことが明らかになった.
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