2002 Fiscal Year Annual Research Report
酸化的DNA損傷を認識する新規な修復酵素の精製とキャラクタリゼーション
Project/Area Number |
02J00638
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
正岡 綾 大阪府立大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 活性酸素 / DNA損傷 / 5-ホルミルウラシル / ウラシル / 5-ヒドロキシウラシル / 5-ヒドロキシメチルウラシル / 酵素精製 / SMUG1 |
Research Abstract |
5-ホルミルウラシル(fU)は電離放射線や活性酸素によりチミンから生成する主要な酸化損傷である。同損傷は電子吸引性のホルミル基の影響でイオン化が起こり、DNA複製の際、本来の対合塩基であるアデニンだけでなく誤ったグアニンとも対合するため突然変異性を示す。これまでに、fU修復活性を持つ酵素として、大腸菌のAlkAを同定した。しかし、真核生物では細胞粗抽出物中に活性が確認されているのみで、その活性は同定されていなかった。そこで、ラット肝臓を出発物としてfU修復活性を部分精製し、その酵素特性を検討した。精製したフラクションにはfU以外にウラシル、5-ヒドロキシウラシル、5-ヒドロキシメチルウラシルに対する活性が含まれており、単純N-グリコシラーゼとして作用し、二本鎖だけでなく一本鎖DNAに対しても活性を示した。活性の至適塩濃度は対合塩基により変化した。一本鎖DNA中のウラシルを認識する酵素としてSMUG1が報告されている。そこで、ラット及びヒトSMUG1と、ラット肝臓より精製した酵素の酵素特性を比較したところ、両者はよく一致した。HeLa細胞素抽出物でも精製したSMUG1と同じ塩濃度依存性が認められた。さらに、抗体を用いた実験から、精製した酵素がSMUG1てあることを確認した。以上の結果は、SMUG1がウラシルDNAグリコシラーゼのバックアップ酵素としてだけでなく、酸化塩基損傷修復酵素として機能する可能性を示した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Matsubara, M.: "Mammalian 5-formyluracil-DNAglycosylase. Part 1 Identification and characterization of a novel activity that releases 5-formyluracil from DNA"Biochemistry. (印刷中).
-
[Publications] Masaoka, A.: "Mammalian 5-formyluracil-DNAglycosylase. Part 2 Role of SMUG1 uracil-DNAglycosylase in repair of 5-formyluracil and other oxidized and deaminated base lesions"Biochemistry. (印刷中).