2002 Fiscal Year Annual Research Report
Si系希薄磁性半導体中で新規に発見された磁気輸送異常の電子論的アプローチ
Project/Area Number |
02J00652
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
横田 壮司 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Si:Ce / スピングラス / 超常磁性 / 磁気輸送特性 / ドーピング / 強磁性 / 磁気抵抗 |
Research Abstract |
Siにf電子系金属、Ceを希薄にドーピングした系で、磁性・超常磁性・スピングラス、巨大磁気抵抗、近藤効果等の様々な現象が確認された。これまでの検討では、高キャリア濃度では強磁性カップリングが安定化し、低キャリア濃度では強相関的物性が安定化している。しかしながら、Ceがアクセプターとして働くためキャリア濃度依存性の詳細な検討には至っておらず、それらの現象がキャリアの運動エネルギーの利得によって生じるものか、またはf軌道を介して生じるものか明らかではない。本研究は、Si:Ceにおいて、代表者によって見出された強磁性、スピングラス、巨大磁気抵抗等の量子現象をキャリア数・バンド構造を制御した試料により電子論的に説明できる現象であるか否かを解明することである。 本年度得られた結果を研究実施計画に沿って報告する。 (1)現有成長装置(MBE)によるSi:CeへのB,Nのドーピングの検討 B、Nの第三元素ドーピングによりキャリア数・キャリアタイプを独立に変化させたSi:Ce薄膜を作製するために成長プロセスを検討した。Bドーピングセルの昇温時の残留ガスのモニタリングと抑制、また成長時の膜厚計のモニタリングによる成長速度の最適化により、0.5at.%のCeを有する試料において3.0x10^<17>cm^<-3>のキャリア密度を有する試料を作製することが出来た。従来は、Ce濃度に依存せず2.0x10^<16>cm^<-3>程度であったので大きな改善である。また、表面平坦性やキャリアモビリティーは第三元素をドーピングしない従来の試料と同程度有していることが確認された。Nドーピングによる結晶性が高くかつ絶縁性の高い試料は現在のところ得られていない。Ceの高濃度ドーピングによる成長温度の低温化によりNがドナーとしてドーピングされていないことが原因であると考えられる。成長条件の再検討が必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takeshi Yokota, Norifumi Fujimura, Taichiro Ito: "Effect of substitutionally dissolved Ce in Si on the magnetic and electric properties of magnetic semiconductor Si_<i-x>Ce_x films"Applied Physics Letters. 81. 4023 (2002)
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[Publications] Takeshi Yokota, Norifumi Fujimura, Takamasa Wada, Satoru Hamasaki, Taichiro Ito: "Ce concentration dependence on the magnetic and transport properties of Ce doped Si epitaxial films prepared by MBE"Journal of Applied Physics. 91. 7905 (2002)