2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J00672
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 大地 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 行動生態学 / 配偶システム / 親子判定 / マイクロサテライト / 性配分 |
Research Abstract |
本研究では,DNA多型分析を用いる事で鳥類イワヒバリの繁殖生態を明かにすることを目的としている.メスによる子の性の産み分けと,オスによる子の父性に応じた子への世話についての研究ついての結果について報告する. 性の配分について 理論的に,繁殖状況によって雌雄の繁殖成功度に違いが生じるならば,子の性比を操作する事が適応的であることが示唆されている.この理論検証を行うためには,産まれたとき子の性を知る必要がある.しかし鳥類では形態での雌雄の判別が困難なため,なんらかの分子生物学的手法を用いて性を特定しなければならない.そこでイワヒバリにおいて,ZとW染色体上でのCHD遺伝子の塩基数の違いによって,雌雄を判別する方法が適応できるかを試みた.性が分かっている成鳥240個体(オス133,メス107個体)について調べたところ,DNAで判別された性と実際の性とに矛盾が全くなかった.このことから,CHD遺伝子を調べる事で子の性を明かにすることができることが確認された. 子の父性について グループで繁殖しているイワヒバリの子の父性について理解するために,どのようなときにどのオスが子を残せているかを調べた.マイクロサテライト遺伝子を用いた親子判定の結果,最高順位のオスが一腹子中の父性を全て独占する事が多かった.全ての巣での父性の割合を平均すると,最高順位のオスはもっとも高く約50%の父性を持っていた.また重回帰分析の結果からオスの父性は,繁殖の重なり具合に影響されていることがわかった.メス間の繁殖の重なりが大きいと最高順位オのは父性が減り,中間の順位のオスは父性を増やしていた.また,重回帰分析の結果から年齢の高いメスほどオスの父性を複数のオスに父性を与えている事が分かった.
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