2002 Fiscal Year Annual Research Report
X線その場観察実験による沈み込んだ海洋プレートの下部マントルにおける密度の決定
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02J00689
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
幾島 宣正 (西山 宣正) 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | SPring-8 / SPEED-MkII / シンクロトロン放射光 / プレス揺動機構 / NaCl / B1-B2相境界 / 超高温 |
Research Abstract |
今年度はおもに次のような成果があった。今年度SPring-8に導入されたKawai型装置、SPEED-MkIIの立ち上げ実験を行い、この装置を使ってNaClのB1-B2相境界の精密決定を行った。 今年度より立ち上げ実験が開始されたSPEED-MkIIは焼結ダイヤモンドアンビルを用いた実験のために設計された高圧装置であり、シンクロトロン放射光と組み合わせることにより50GPa以上の圧力領域での精密なX線その場観察実験を可能にするものである。この装置の大きな特徴は、プレス揺動機構を有することである。この機構は回折条件を満たす結晶の数が少なくても、サンプルを揺動させることにより、その弊害を軽減し、質の高いX繰回折パターンの収集を可能にする機構である。50GPa以上の超高圧を発生させるためには試料体積を小さくする必要があり、従来までの装置では質の高いX線回折パターンの収集をするのは困難であった。そこで、この装置では世界で初めて高圧発生装置全体を揺動させる機構を設け、超高圧条件下で質の高いX線回折パターンを収集することを可能にした 私はこの立ち上げ実験に参加するとともに、この装置を使用した最初の実験を行った。その結果、NaClのB1-B2相境界の精密決定を1150-2000Kの温度範囲で行った。相境界線は負の勾配をもち、P(GPa)=31.27-0.0057 T(K)で表されることが明らかになった。この圧力領域(〜20 GPa)ではNaClの融点は約2100Kであり、実験を行った2000K付近では急激に試料の結晶成長がおこり、良質なX線回折パターンを収集することが困難であった。本研究ではプレス揺動機構を活用することにより、この困難を克服した。今後、この装置を用いることにより、マントル物質の超高温高圧領域での実験が可能になると思われる。
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Research Products
(1 results)