2002 Fiscal Year Annual Research Report
タンゼリンbrown spot病菌の宿主特異的毒素生合成の分子機構
Project/Area Number |
02J00696
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
増中 章 愛媛大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Alternaria alternata / カンキツ / Alternaria brown spot病 / 宿主特異的毒素 / ACT毒素 |
Research Abstract |
これまでに、フロリダ産タンゼリンbrown spot病菌からACT毒素生合成遺伝子クラスターの部分領域(33,974bp)を単離し、この領域内に含まれる5つのACT毒素生合成遺伝子は、3毒素(ACT-、AF-、AK-毒素)の共通部分構造であるデカトリエン酸生合成に関与することを示してきた。そこで次に、ACT毒素に特異的な構造部分に関与する酵素遺伝子群の単離を試みた。 始めに、現在得ている5つの生合成遺伝子が、全て1.9Mbの小型染色体上に座乗していることを明らかにした。さらに、世界各国(アメリカ、コロンビア、トルコ、イスラエル、南アフリカ、オーストラリア)から採取したタンゼリンbrown spot病菌18株の染色体DNAをパルスフィールド電気泳動法により分離・比較し、5生合成遺伝子がどの染色体上に座乗するか調査した。その結果、菌株間のバンドパターンに若干の違いが見られたが、全ての菌株に0.7-2.0Mbの小型染色体が存在していた。また、5遺伝子全てが小型染色体上に座乗していたが、そのサイズは菌株や採取した地域により異なっていることが明らかになった。そこで、地域別にACTT遺伝子群の座乗する染色体のバンドパターンを比較したところ、アメリカ/コロンビア型、トルコ/南アフリカ/イスラエル型およびオーストラリア型の3つに分類された。 次に、これら5生合成遺伝子群の座乗する小型染色体を基にしたプローブを用い、タンゼリンbrown spot病菌SH20株のゲノムコスミドライブラリーをスクリーニングし、新たな4つのクローンを得た。このうちの1つ、CL46の全塩基配列35,900bpの決定がすでに終了しており、新たな推定ORFが検出されている。これら新たなORFについては、ACT毒素生成菌ゲノムに特異的に存在するかどうかサザン解析を行い、ACT毒素生合成遺伝子クラスターに特異的なORFを決定し、標的遺伝子破壊によりACT毒素生成における各ORFの役割の解明を行っていく。
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